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白夜行
（2010年 日本）（上映時間2時間29分）
監督：深川栄洋
出演：堀北真希、高良健吾、船越英一郎、姜暢雄、緑友利恵、粟田麗、今井悠
貴、福本史織、田中哲司、戸田恵子
＊新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://byakuyako.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
昭和55年。密室の廃ビルで質屋の店主が殺される。やがて事件は容疑者の死亡
によって幕を下ろす。だが、担当刑事の笹垣（船越英一郎）は割り切れない思
いを抱えたままだった。それから数年後、容疑者の娘雪穂（堀北真希）と被害
者の息子亮司（高良健吾）の周りで不可解な事件が起こり始めるのだが……。
＜レビュー＞
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重厚なタッチのサスペンス。だが、後半の展開には？
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東野圭吾の同名ミステリーを『60歳のラブレター』の深川栄洋監督が映画化。
物語の発端は昭和55年に起きた密室殺人。容疑者死亡で処理されるものの、刑
事の笹垣は納得できずに個人的に捜査を継続。そんな中、やがて成長した容疑
者の娘の雪穂と被害者の息子の亮司の周辺で、奇妙な事件が相次ぎます。
オープニングから独特のタッチ。褪せた色調の映像を通して、重く、暗い雰囲
気が漂います。昔の野村芳太郎監督あたりの本格ミステリーを思わせるタッチ
です。
前半から中盤にかけて目に付くのは、事件の鍵を握ると思われる雪穂と亮司の
心理を、セリフに頼らずにじっくりと描き出しているところ。彼らが抱えてい
るものが何なのか、明確にはわからないものの、胸の内にとてつもなく大きな、
どす黒い闇があることが伝わってきます。
2人を演じる堀北真希、高良健吾の抑制的な演技。彼らを追う刑事役の船越英一
郎のテレビドラマとは違う静かな演技も印象的です。
雪穂と亮司がかつての殺人事件に深く関わり、その後続発するレイプ事件など
にも関与していることは、早くからわかってしまいます。しかし、絶対に交わ
らない2人の間にどんな関係があり、何が2人を結び付けているのかはわからな
いまま。そんな謎を抱えながら、重厚なタッチの見応えあるドラマが展開しま
す。
ところが、後半の展開にはビックリです。笹垣刑事が毒殺されかかるあたりか
らは、バタバタと話が進んでいきます。かなり強引な展開の連続です。
しかも、肝心の事件の全貌は、なんと笹垣刑事のセリフによってまとめて明か
されます。テレビの2時間サスペンスで終盤によく見られる手法。いくら船越英
一郎だからって、それはないでしょう。犯人はバレバレとはいえサスペンスな
んだから、もっと丁寧に事件の真相を拾っていかないと。サスペンスより人間
ドラマに重点を置きたかったのだとしても、これではちょっと……。
その後の亮司と遭遇した笹垣刑事のセリフには、さらにビックリ。あんなこと
言うわけないじゃん。いくらなんでも唐突すぎますよ。このセリフだけで映画
が台無しです。演出はともかく、脚本をもっと練り上げて欲しかったですね。
前半は良かっただけにもったいない。
≪ぽちの満足度≫
★★☆☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年1月29日（土）池袋HUMAXシネマズにて。午後5時10分の回
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