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クロエ（CHLOE）
（2009年 カナダ・フランス・アメリカ）（上映時間1時間36分）
監督：アトム・エゴヤン
出演：ジュリアン・ムーア、リーアム・ニーソン、アマンダ・セイフライド、
マックス・シエリオット
＊TOHOシネマズシャンテにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.chloe-movie.jp/
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＜ストーリー＞
大学教授の夫デビッド（リーアム・ニーソン）と一人息子マイケル（マック
ス・シエリオット）と暮らす産婦人科医のキャサリン（ジュリアン・ムーア）。
一見、幸せそうな彼女の心は孤独と焦燥に覆われていた。ある日、夫と教え子
との不倫を疑ったキャサリンは、不安な気持ちを抑えられず、偶然知り合った
若く美しい娼婦クロエ（アマンダ・セイフライド）を雇って、彼女に夫を誘惑
させ、夫がどんな態度をとったかを報告させる。だが、クロエはキャサリンの
心の隙に付け込んで、恐ろしい罠を仕掛けていく……。
＜レビュー＞
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鬼才エゴヤン監督による中年夫婦と娼婦のエロくて怖〜いサスペンス
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カンヌで審査員グランプリを受賞した『スウィート ヒアアフター』（1997
年）などで知られるカナダの鬼才アトム・エゴヤン監督によるエロチックで怖
〜いサスペンス。
主人公は夫と一人息子と暮らす中年の産婦人科医キャサリン。一見幸せそうだ
が、心の奥には孤独と焦燥感を抱えている。そんな中、不倫を疑わせる夫の
メールを見たことから不安になったキャサリンは、たまたま知り合った若い娼
婦クロエを雇って、夫を誘惑させ、夫がどんな行動をとったか報告を求める。
だが、クロエはある策略を実行していた……。
一歩間違えばB級になりそうな映画。夫の不倫を疑うなら普通は探偵でも雇うの
に、娼婦に夫を誘惑させるというのですから困ったもの。
ただし、この映画、けっしてB級ではありません。サスペンスとして特に凝った
仕掛けがあるわけではありませんが、中年夫婦と娼婦のアブナイ心理を前面に
押し出して、見応えある映画に仕上げています。
なにしろ主演のキャサリン役が、オスカーに何度もノミネートされているジュ
リアン・ムーア。その夫役がこちらも賞の常連リーアム・ニーソン。この２人
が、「一見幸せそうながら実は……」という微妙な夫婦関係を巧みに表現して
います。
そして、そんな２人以上にスゴイのが、娼婦クロエ役のアマンダ・セイフライ
ド。ミュージカル映画『マンマ・ミーア！』でブレイクした彼女が、まさかこ
んなエロくて怖い役を演じていたとは！まさに小悪魔的な魅力が全開です。
中盤では、そんな彼女の罠にはまっていったキャサリンとのレズシーンまで登
場。２人が全裸で絡み合います。若いアマンダはともかく、撮影時48歳だった
ジュリアン・ムーアも勇気ありますねえ。まあ、確かにそんな年齢には見えな
いハダカでしたが。
過去のすべての作品では、自ら脚本も担当してきたエゴヤン監督ですが、今回
は『セクレタリー』のエリン・クレシダ・ウィルソンの脚本。そのため過去の
作品とはだいぶ趣が違いますが、その才気は端々で十分に披露されています。
特に後半、クロエがどんどんアブナイ方向に走っていくところの鬼気迫る姿の
捉え方が見事。
キャサリンの自宅やホテル、カフェなど限定された舞台で進行するのも、ドラ
マの濃密さを倍加させています。トロントで撮影したせいか、どこか寒々しい
雰囲気もこの映画にはピッタリです。
ラストは驚きの結末。とはいえ、少々あっけなさ過ぎるかも。この部分を含め
て、1時間36分の映画ゆえ、やや描き足りないところがいくつか見られたのが残
念なところ。
それでも、有能な監督の演出と、３人の新旧の役者たちの演技が見応え十分の
サスペンスでした。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年4月5日（火）アスミック・エース試写室にて
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