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英国王のスピーチ（THE KING'S SPEECH）
（2010年 イギリス・オーストラリア）（上映時間1時間58分）
監督：トム・フーパー
出演：コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ、ヘレナ・ボナム＝カーター、
ガイ・ピアース、ティモシー・スポール、デレク・ジャコビ、ジェニファー・
イーリー、マイケル・ガンボン
＊TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほかにて全国公開
ホームページ http://kingsspeech.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
英国王ジョージ5世の次男のジョージ6世（コリン・ファース）は、幼い頃から
吃音に悩み、様々な治療を受けるものの一向に改善しなかった。そんな夫を心
配する妻エリザベス（ヘレナ・ボナム＝カーター）は、オーストラリア人の言
語療法士ライオネル（ジェフリー・ラッシュ）を頼る。彼はジョージに風変わ
りな治療法を施す。そんな中、国王に即位した兄エドワード8世（ガイ・ピアー
ス）が、既婚女性との結婚を決意し、王位を返上してしまう。突然王位に就く
ことになったジョージは混乱するのだが……。
＜レビュー＞
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吃音の国王とそれを治療する男の友情物語
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吃音に悩む英国王ジョージ6世（エリザベス女王の父）と、彼を治療するオース
トラリア人言語療法士との友情を描いた実話を基にしたドラマ。第83回米アカ
デミー賞で作品、監督、主演男優、脚本賞を受賞しました。
主人公のジョージ6世は、幼い頃から吃音に悩み、どんな治療も効果がありませ
ん。見かねた妻のエリザベスが頼ったのが、言語療法士のライオネル。最初は
ギクシャクするジョージとライオネルですが、やがて友情らしきものが生まれ
ます。しかし、あることから2人は仲違いして……。
よくある友情物語ですが、英国王室の王子を無名のオーストラリア人が治療す
るという構図がミソ。ライオネルによる型破りな治療の過程が面白く描かれま
す。ジョージに対して、お互いに対等にならなければ治療はできないと宣言。
ユニークな治療法を実行したり、プライベートにまで立ち入って吃音の原因を
探ろうとします。
2人の会話が絶妙で、笑いどころもたくさんあります。いまや演技派のイメージ
が定着したコリン・ファースとオスカー主演男優賞の先輩ジェフリー・ラッシ
ュ。2人の存在がなければ、ここまで面白いドラマにはならなかったでしょう。
ドラマの大きな転換点は父の国王ジョージ5世の死去。新たに兄エドワード8世
が王位に就くこものの、まもなく既婚女性との結婚を宣言して退位。必然的に
ジョージにオハチが……。
思わぬ事態に苦悩するジョージ。幼い頃から王子であるために様々な苦しみを
受けてきたことが明らかにされ、その胸中がよりリアルに伝わってきます。
そんな中で、一度は遠ざけたライオネルを再び頼るジョージ。戴冠式の練習な
どを通して2人は再び強く結びつきます。
クライマックスは、ドイツに宣戦布告した際の戦争スピーチ。不安なままマイ
クの前に立つジョージ。彼を励まし見守るライオネル。ラジオの生中継を聞く
英国民の表情なども織り込みつつ、ソツのない演出で場を盛り上げていきます。
残念なのは、描かれるのが国王側のドラマが中心で、ライオネルのドラマがあ
まり描かれないこと。彼の妻子も登場し、役者崩れという過去も明らかになる
ものの、それ以上の掘り下げはナシ。そこがもう少し描かれたなら、友情物語
にもっと深みが出た気がします。
特に驚くようなことはないけれど、丁寧につくられた良い映画です。誰でも楽
しめて、素直に感動できるドラマになっています。それが『ソーシャル・ネッ
トワーク』に競り勝ってオスカーを獲得した原因でしょうか。個人的には、
『ソーシャル・ネットワーク』のパワーのほうに軍配を上げますが。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年3月4日（金）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時15分の回
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