エリックを探して(LOOKING FOR ERIC)


(2009年 イギリス・フランス・ベルギー・イタリア・スペイン)(上映時間1
時間57分)
監督:ケン・ローチ
出演:スティーヴ・エヴェッツ、エリック・カントナ、ジョン・ヘンショウ、
ステファニー・ビショップ
*Bunkamraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて公開
ホームページ http://www.kingeric.jp/
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<ストーリー>
マンチェスターの郵便配達員エリック(スティーヴ・エヴェッツ)は、7年前
に家を出た2度目の妻の連れ子2人を育ててきた。だが、長男はギャングと関
わり、次男は学校に行かない問題児。おまけに、ずっと会っていなかった最初
の妻のリリーと再会しなければならなくなり、気持ちが落ち込む毎日だった。
そんなある日、エリックのアイドルで、かつてのサッカーの名選手エリック・
カントナが彼の前に現れるのだが……。

<レビュー>
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人生に疲れた男の再生物語。サッカーの名選手が絶妙のアシスト
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労働者階級や移民など社会のひずみに直面する人々を描いてきた社会派の名匠
ケン・ローチ監督が、これまでとは一転してエンターティメント性の高いコメ
ディ映画を作りました。テーマはズバリ、ダメダメ男の再生物語。

主人公は郵便配達員のエリック。昔はカッコよかったものの、いまや典型的な
ダメダメ中年。2度目の妻にも逃げられて、その連れ子2人と暮らすもののど
ちらも問題児。長男はギャングに関わり、次男は不登校。おまけに、エリック
は最初の妻リリーとの間の娘サムの娘(つまり孫)のデイジーを預かることに
なり、リリーと再会するハメに。離婚したことを後悔しているエリックだけに、
心穏やかではありません。

そんな人生に疲れまくったエリックの前に現れたのが、彼のアイドルでかつて
名門マンチェスター・ユナイテッドでエースとして君臨した元フランス代表の
スーパースター、エリック・カントナ。エリックがカントナのポスターに話し
かけると、本人の幻影が出てきてあれこれ人生のアドバイスを与えます。

すぐに落ち込むエリックをカントナが得意の格言で励ますところが見もの。
ユーモアたっりで、実にほほえましい光景です。カントナは、現役時代は問題
児として知られただけに、なおさら面白く感じられます。

対話の中でカントナは「自分にとって最高の瞬間はゴールを決めた時ではなく、
仲間からのパスがつながった時だ」と語ります。これがクライマックスの伏線
になっています。

カントナのアドバイスで人生をやり直して、リリーとよりを戻そうとするエリ
ックは、いきなりランニングを始めたり、家を片付けたりと大ハッスル。リ
リーとの仲も少しずつ進展します。ところが、ギャングと関わった長男が原因
で、突然彼は窮地に追いつめられます。そこで彼はいったいどんな行動に出た
のか?

クライマックスで展開されるのは、爆笑モノのユニークな作戦。カントナだら
け! 冷静に考えれば都合よすぎですが、そんなことは気にならない痛快さで
す。

ラストもありきたりの展開とはいえ、心温まるエンディング。観終わってポカ
ポカした気持ちになれることは間違いなし。「人生はいつでもやり直せる」
「仲間の存在が大切」といった前向きなメッセージも伝わってきます。

エリックを演じたスティーヴ・エヴェッツのヨレヨレぶりが、役柄にピッタリ
です。本人役で登場するカントナも、堂々たる演技を披露しています。彼の現
役時代の活躍シーンも満載。

ダメダメ男の再生をユーモラスに描いたエンタメ映画として、完成度の高い映
画です。イギリスの人たちとサッカーとの結びつきの強さもよくわかります。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
(過去のケン・ローチ作品のファンには物足りないかもしれませんが、心温ま
るエンタメ映画として見応え十分です。)
                             (田中ひろあき(ぽち))

〔鑑賞データ〕
2011年1月8日(土)Bunkamraル・シネマにて。午後1時55分の回


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