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ジーン・ワルツ
（2011年 日本）（上映時間 1時間51分）
監督：大谷健太郎
出演：菅野美穂、田辺誠一、大森南朋、南果歩、白石美帆、桐谷美玲、須賀貴
匡、濱田マリ、大杉漣、西村雅彦、片瀬那奈、風吹ジュン、浅丘ルリ子
＊丸の内ＴＯＴＥＩほかにて全国公開
ホームページ http://gene-waltz.com/
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＜ストーリー＞
帝華大学病院の医師・曾根崎理恵（菅野美穂）は、大学の教壇に立つかたわら、
廃院寸前の小さな産婦人科クリニックの院長代理として診察にあたっていた。
そこには、それぞれに事情を抱えた４人の妊婦が通っていた。最先端不妊治療
に積極的な理恵は、大学の主流派から煙たがられていた。一方、理恵と同じ大
学病院のエリート医師・清川吾郎（田辺誠一）は、改革の必要性は認めつつも、
体制内からの改革を目指していた。そんな中で、理恵にある疑惑が持ち上がり、
清川は彼女の周辺を調べ始めるのだが……。
＜レビュー＞
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医療の変革を目指す医師と4人の妊婦たちのドラマ
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『チーム・バチスタの栄光』などの海堂尊による医療ミステリーを『とらばい
ゆ』『ＮＡＮＡ』などの大谷健太郎監督が映画化。
オープニングに登場するのは、出産時の事故で母親が亡くなるシーン。まもな
く医師は警察により逮捕されます。原作は未読ですがミステリーということで、
この事件の真相をめぐって謎解きのドラマが始まるのかと思ったら、そうでは
ありませんでした。
物語の大きな柱は4人の妊婦たちのドラマ。大学病院の産婦人科の女性医師であ
る主人公・理恵は、院長が余命わずかで廃院が決まったクリニックで診察をし
ています。そこには、不妊治療でようやく妊娠した中年女性、障害を持つ子供
を妊娠した女性、中絶を希望する若い女性、50代半ばの謎の妊婦という4人の患
者が通ってきます。彼女たちそれぞれの境遇と心境の変化を綴っていきます。
そして、もう一つの柱になるのが、理恵とエリート医師・清川との関係を描い
たドラマ。現在の産婦人科医療をめぐる状況を変えたいという思いでは一致す
るものの、体制内からそれを変えようとする清川と理恵の間には、対立関係が
あります。さらに、2人の間には男と女としての感情もあります。そんな複雑な
関係の中で揺れ動く2人を描きます。
やがて、ドラマは大きく動き、その中で代理母というテーマが浮かび上がって
きます。理恵が診察するある妊婦をめぐって、理恵と清川は激しく対立します。
しかも、問題の妊婦と理恵との関係が明らかになって、事態はさらに緊迫しま
す。
クライマックスは代理母問題に正面から迫るのかと思いきや、あっとビックリ
の展開。嵐の中の怒涛の出産劇には「そんなのありえない！」と思わず叫びた
くなったものの、盛り上がるし、感動的な展開なのは確かです。
押し付けがましくなく、生命の輝きを讃えたラストも心地よい余韻を残します。
4人の妊婦のドラマ、理恵と清川の愛憎劇、医療現場をめぐる様々な問題、大学
病院内の権力争いなど、様々な要素をテンコ盛りで描いた映画。ただし、それ
ぞれのバランスがいいので、それほど窮屈な感じはしません。特に人間ドラマ
にはそれなりに見応えがあります。菅野美穂の熱血漢ぶり。それとは対照的な
田辺誠一の演技も印象的。
その代わり、ミステリーの魅力はないし、医療問題への迫り方も不十分。その
あたりには期待しないで観ましょう。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年2月12日（土）シネマサンシャイン池袋にて。午後1時35分の回
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