|
阪急電車 片道15分の奇跡
（2011年 日本）（上映時間1時間59分）
監督：三宅喜重
出演：中谷美紀、戸田恵梨香、南果歩、谷村美月、有村架純、芦田愛菜、小柳
友、勝地涼、 玉山鉄二、宮本信子
＊TOHOシネマズ日劇ほかにて全国公開
ホームページ http://hankyudensha-movie.com/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
片道15分のレトロな雰囲気の路線・阪急今津線。そこに、様々な事情を抱えた
男女が乗り合わせる。婚約者を後輩に寝取られ、嫌がらせで純白のドレスで式
に出席したＯＬの翔子（中谷美紀）。かわいい孫を連れた老婦人の時江（宮本
信子）。彼氏のＤＶに悩む女子大生のミサ（戸田恵梨香）。肌の合わないＰＴ
Ａの奥様グループの誘いが断れない主婦の康江（南果歩）。入学した大学の雰
囲気になじめない地方出身の権田原美帆（谷村美月）と小坂圭一（勝地涼）。
受験で悩む女子高生の悦子（有村架純）。学校でいじめられている小学生の女
の子……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
阪急電車と沿線の魅力が伝わる心温まる群像劇
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
8駅、片道15分間の路線・阪急今津線を舞台に、沿線に住む8人の男女を描いた
群像劇。有川浩の短編集の映画化です。
登場する8人は、男を寝取られ、嫌がらせのために純白のドレスで式に出席した
ＯＬの翔子。息子夫婦との関係に悩む、かわいい孫を連れた老婦人の時江。彼
氏のＤＶに悩む女子大生のミサ。奥様グループに誘われ嫌々行動を共にしてい
る主婦の康江。周囲の雰囲気になじめない地方出身の大学生の美帆と圭一。年
上の会社員と付き合い、受験で悩む女子高生の悦子。学校でいじめられている
小学生の女の子。要するに、みんな悩みを抱えている人たちです。
この人たちが同じ今津線に乗り合わせて、お互いにふれあうことで、前向きに
生きていくようになるというハートウォームな映画。
全体は二部構成で、10月と4月の往路と復路が描かれます。前半のキーパーソン
は老婦人の時江。彼女は翔子の話を聴いて励まし、ミサに忠告を与えます。後
半は、その２人が、時江に受けた優しい気持ちを、康江やいじめられっ子の小
学生にお返しする話が中心。そこに、同じく電車に乗り合わせた、それ以外の
人々のエピソードが絡んでくるという仕掛け。
各エピソードのポイントをうまくまとめた脚本＆演出です。全体を包む穏やか
な雰囲気の中で、登場人物が生き生きと描かれ、観終わって温かで優しい気持
ちになれます。
ただし、さすがにこれだけ多くのエピソードを描いているので、深みはありま
せん。例えば、時江は息子夫婦との関係に悩んでいるという設定ですが、それ
は冒頭にチラリと伺えるのみ。それ以上のツッコミはありません。その他のエ
ピソードにも、物足りないところがたくさん見られます。
監督がテレビドラマの演出家の三宅喜重、脚本もテレビドラマの名手の岡田惠
和のせいか、映画的な魅力もあまりありません。舞台のほとんどは電車の車内
と駅。しかも、会話中心に成り立っているドラマのため、どうしても間延びし
てしまいます。
大学生の美帆と圭一のエピソードでは突然アニメを登場させたりして、何だか
そこだけ浮いていたりもするし……。
いくら原作モノとはいえ、もう少し人物やエピソードを整理して、深みを出し
たほうがよかったのでは？というのが正直な感想。
とはいえ、観終わったあと味はいいし、温かな気持ちになりたい人にはピッタ
リの映画だと思います。何より阪急電車のＰＲ映画として最高ですね。観れば、
みんなあの電車に乗ったり、沿線に住みたくなってしまいますから。
≪ぽちの満足度≫
★★☆☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年5月8日（日）TOHOシネマズ日劇にて。午後3時50分の回
[「は」のページ] |
|