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ハンナ（HANNA）
（2011年 アメリカ）（上映時間1時間51分）
監督：ジョー・ライト
出演：シアーシャ・ローナン、エリック・バナ、ケイト・ブランシェット、ト
ム・ホランダー、オリヴィア・ウィリアムズ、ジェイソン・フレミング、ジェ
シカ・バーデン
＊新宿ピカデリーほかにて公開
ホームページ http://www.hanna-movie.jp/
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＜ストーリー＞
フィンランドの山奥で、元CIA工作員の父エリック（エリック・バナ）に戦闘テ
クニックや語学などを叩き込まれて育った16歳の少女ハンナ（シアーシャ・
ローナン）。その戦闘能力は父を凌ぐまでになり、父のもとから旅立つことを
決意する。ヨーロッパを旅立った彼女だが、父のかつての同僚でCIA捜査官マリ
ッサ（ケイト・ブランシェット）が執ように追跡する。やがて父と再会する約
束をした場所に出かけるハンナだが……。
＜レビュー＞
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殺人マシーンの少女による、おとぎ話の要素を持った冒険アクション
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父親によって殺人マシーンとして育てられた少女の冒険アクション映画。ス
トーリー展開は、典型的なハリウッドのエンタメ映画そのものですが、中身は
かなりユニークです。何しろ監督は、これまでに『プライドと偏見』『つぐな
い』と本格派の人間ドラマを監督してきたジョー・ライト。
冒頭は、雪に覆われたフィンランドの森の中で、主人公の少女ハンナが狩りを
するシーン。そこに現われる父のエリック。ハンナの殺人マシーンぶりと２人
のそれまでの生活が、端的に表現されます。
まもなく父のもとから旅立つ決意をするハンナ。しかし、父が出て行った直後
にCIAが急襲し、ハンナは監禁されてしまいます。しかし、そこはさすがに殺人
マシーン。まもなくハンナは脱出。そんなハンナとエリックを執拗に追跡するC
IA捜査官のマリッサ……。
アクションシーンはなかなかの迫力。『つぐない』でアカデミー助演女優賞候
補となったシアーシャ・ローナンが、過去の作品とは一転して体を張ったアク
ションを披露。特に父親のエリックともども格闘シーンが見ものです。
しかし、それ以上に印象的なのが、ハンナが逃走を続ける中で様々なことを体
験していくところ。殺人マシーンとして父親から語学をはじめ多くの知識を教
え込まれたものの、すべては本の中の知識。実体験はほとんどない彼女が、初
めて外の世界を知り、戸惑いつつ「自分は何者だ？」と疑問を持つようになり
ます。
家族とともにキャンピングカーで旅する同世代の女の子と出会ったことが、彼
女に大きな影響を与えます。知り合ったスペイン人の男の子がキスしそうにな
ると、本で学んでキスに関する知識を披瀝。でもっと、結局ぶん投げるという
展開が笑えます。
斬新なアングルを連発した映像、ケミカル・ブラザースによる音楽などもアバ
ンギャルドな雰囲気で面白いところ。
そして、なにやら奇妙なシーンが多いのも目立ちます。マリッサに命じられて
ハンナを追う男は、典型的な殺し屋とは違うタイプ。しかも、彼が仕切ってい
るバーでは、両性具有者によるショーの稽古中。それ以外にも、怪しいという
か、不思議というか、変なシーンがたくさん出てきます。そのあたりは、デヴ
ィッド・リンチ監督の世界を思わせます。
クライマックスはマリッサとエリック、そしてマリッサとハンナの対決の二連
発。その直前に明らかになるハンナの出生の秘密は、この手のドラマにありが
ちな陳腐なもの。それでも、アクションシーンはかなりの盛り上がり。特にケ
イト・ブランシェット演じるマリッサのブチ切れぶりが見事です。映画の中で
何度か出てくる彼女が歯を磨くシーンが絶品。
ラスト近くではハンナが逃げ込んだトンネルに、なんと鹿が出現！ これって、
『ツイン・ピークス』じゃないの？やっぱりデヴィッド・リンチでしょ。これ。
そんな遊び心も含めて、普通のエンタメ監督にはつくれないユニークな映画で
す。ハンナと父親が再会を約束したのが（童話の）グリムの家というのが象徴
的。ある意味、この映画は一種のおとぎ話といえそうです。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年9月11日（日）新宿ピカデリーにて。午後2時35分の回
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