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ヒア アフター（HEREAFTER）
（2010年 アメリカ）（上映時間2時間9分）
監督・製作・音楽：クリント・イーストウッド
出演：マット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス、フランキー・マクラレン、
ジョージ・マクラレン、ジェイ・モーア、ブライス・ダラス・ハワード、マル
ト・ケラー、ティエリー・ヌーヴィック
＊丸の内ピカデリーほかにて公開
ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/hereafter/
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＜ストーリー＞
パリのジャーナリストのマリー（セシル・ドゥ・フランス）は、恋人と出かけ
た東南アジアで津波に襲われ九死に一生を得るが、その時に見た不思議な光景
が忘れられずにいた。一方、サンフランシスコに住むジョージ（マット・デイ
モン）は、かつては死者と交信できる霊能者として活躍したが、今はその能力
を封印して工場で働いていた。そして、ロンドンに暮らす少年マークスは、あ
る日突然、双子の兄のジェイソンを失い、もう一度兄と話したいと強く願って
いた……。
＜レビュー＞
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死後の世界を素材にしつつ、この世を生きる人々の再出発を描く
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80歳を過ぎてもコンスタントに佳作を発表し続けるクリント・イーストウッド
監督。本作も、過去の作品と比べて傑作とまではいかないものの、相変わらず
レベルの高い作品に仕上がっています。
津波で死にかけたパリの女性ジャーナリスト。死者と交信できるサンフランシ
スコの元超能力者。ロンドンに住む双子の兄を事故で亡くした少年。この3人の
エピソードを交互に描いたドラマです。
3つのエピソードに共通するテーマは「死後の世界」。ただし、それを徹底して
追求するわけではありません。インタビューで「自分は死後の世界を信じてい
ない」と断言するイーストウッド監督だけに、その関心の中心はこの世を生き
る人々にあります。
女性ジャーナリストは、不思議な臨死体験を公表して信用をなくし、恋人とも
別れることになります。自分の能力を封印した超能力者は、それでも周囲に死
者との交信を迫られ、好意を寄せる女性に逃げられてしまいます。そして、双
子の兄を亡くした少年は、麻薬中毒の母親から引き離され、里親に引き取られ
るものの、何が何でもあの世の兄と交信したいと必死になります。
こうして死後の世界と関わることになり、傷つき、迷い、悩み、苦しむ人々が、
やがて再び前向きに生きるまでを描いたのが、この映画のポイント。
全体のタッチは静かで抑制的。いかにもイーストウッド作品らしい、心に染み
入るような描写が目立ちます。押し付けがましさや強引な煽りとは無縁。自身
で担当したセンスの良い音楽も魅力です。
死後の世界の描写が絶妙。必要最小限にサラッとイメージを見せるだけ。スピ
リチュアル系のサスペンスなどによくある、やりすぎ感はまったくありません。
クライマックスでは、ロンドンのブックフェアを舞台に3人を交差させ、それぞ
れの新たな一歩を示します。希望を感じさせる後味の良い終わり方です。
霊能力者役のマット・デイモンに加え、女性ジャーナリスト役のセシル・ド
ゥ・フランス（『シスタースマイル ドミニクの歌』）が光ります。双子のお
子さまたちも芸達者でした。
「死後の世界」に期待しないで観ることをオススメします。あくまでも「この
世界」を描いた映画なので。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年2月20日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時30分の回
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