昼間から呑む(DAYTIME DRINKING)


(2009年 韓国)(上映時間1時間56分)
監督・脚本・撮影・編集・音楽:ノ・ヨンソク
出演:ソン・サムドン、キム・ガンヒ、イ・ラニ、シン・ウンソプ
*シネマート新宿ほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.cinemart.co.jp/hirumakara/
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<ストーリー>
彼女にフラれたヒョクチン(ソン・サムドン)は、酒の席で3人の友人に慰め
られ、「明日みんなで傷心旅行に繰り出そう」と誘われる。翌日、気乗りしな
いまま待ち合わせ場所に出かけるが、残りの3人は全員ドタキャンでやって来
ない。仕方なく見知らぬ田舎町を1人で旅し始めるヒョクチン。主人が友人の知
り合いだというペンションへと向かうのだが……。

<レビュー>
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ひたすら緩くて笑ってしまうダメダメ男のロードムービー
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製作費100万円以下という超低予算インディーズ作品ながら、かなりの賞を受賞
した韓国映画です。

冒頭は飲み会のシーン。失恋した主人公のヒョクチンを3人の友人達が慰めま
す。そして、その場の勢いで田舎町への傷心旅行の話が盛り上がります。最初
は乗り気でなかったヒョクチンも、熱心な誘いに翌日待ち合わせ場所へ。とこ
ろがそこには誰も現れず。やむなく一人旅を始めた彼は、次々とトラブルに見
舞われていきます。

主人が友人の知り合いだというペンションへと向かったら、なんだかようすが
ヘン。隣の部屋に宿泊する女性に下心ミエミエで酒を持っていったら、部屋に
は男が一緒。その後も、とんでもないトラブル続き。ついには身ぐるみはがさ
れて捨てられて……。

要するに、ダメダメ男のどうしようもない旅を描いたロードムービーです。煩
悩丸出しで行動するヒョクチンですが、やることなすこと裏目ばかり。

そして、タイトルにあるように、昼間っからひたすら酒を呑みまくります。時
には自ら進んで。あるいは誰かに誘われて。徹頭徹尾呑みまくります。そして、
それがまた大失敗を招いてしまうのです。

そんな情けないヒョクチンの姿を、ごく自然に生き生きと描いています。全体
のタッチはひたすら緩〜いタッチ。「こんなに緩くていいの?」と思うほどの
緩さです(山下敦弘監督の『ばかのハコ船』や『リアリズムの宿』あたりと、
共通する雰囲気も感じました)。それによって、何とも味のある笑いが生み出
されています。全編クスクスと笑いっぱなしでした。

低予算映画だけに、映像的にそれほど凝った仕掛けはありませんが、短いカッ
トをつないで時間経過をすっ飛ばした描写が、程よいリズムを生み出していま
す。

とんでもないことになってしまったヒョクチン。最後のほうでようやく友達が
合流します。そこで明らかになる驚きの事実。ところが、やがてまた新たな事
実が……。

冒頭の酒席で語られた失恋相手の名前が、効果的な伏線になっています。ちょ
っとあざといネタにも思えるけれど、自然な流れのせいで素直に爆笑できまし
た。

そして、それでも煩悩を断ち切れないヒョクチンを暗示するようなラストシー
ン。

監督、脚本、撮影、編集、音楽をすべて担当したノ・ヨンソク。100万円もかけ
ずに、これだけ面白い映画を作るのだから見上げたもの。文句なしに楽しい映
画です(全編飲酒しているので、お酒の嫌いな人にはつらいかもしれませんけ
ど)。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
                             (田中ひろあき(ぽち))

〔鑑賞データ〕
2011年5月14日(土)シネマート新宿にて。午後1時の回


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