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ハウスメイド（THE HOUSEMAID）
（2010年 韓国）（上映時間1時間47分）
監督・脚本：イム・サンス
出演：チョン・ドヨン、イ・ジョンジェ、ソウ、ユン・ヨジョン、パク・チヨ
ン、アン・ソヒョン
＊TOHOシネマズ シャンテ、新宿ミラノほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://housemaid.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
上流階級の豪邸のメイドとして雇われたウニ（チョン・ドヨン）は、先輩メイ
ドのビョンシク（ユン・ヨジョン）の厳しい指導のもと、双子を妊娠中の妻ヘ
ラ（ソウ）と６歳になる娘ナミの世話する。そんなある日、主人のフン（イ・
ジョンジェ）に求められるままに関係を持ったウニは、彼の子を妊娠してしま
う。それを知ったビョンシクは、ヘラの母親に報告（パク・チヨン）。それを
きっかけに、屋敷の中には女たちの憎しみや狂気が渦巻くようになる……。
＜レビュー＞
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女の憎悪と狂気がぶつかり合うオドロオドロしい富豪の家
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韓国映画史上に残る衝撃作といわれる『下女』（1960年）を、『浮気な家族』
『ユゴ 大統領有故』のイム・サンス監督がリメイクした作品。韓国版「家政
婦は見た！」か？
主人のフンと双子を妊娠中の妻ヘラ、そして6歳の娘ナミが暮らす富豪の家。そ
このメイドに採用された主人公のウニは、先輩メイドの指導のもとで家事をこ
なしたり、ヘラやナミの面倒を見る。ところが、ある時、主人から誘われて関
係を持ってしまったウニは、まもなく妊娠してしまう。妊娠を察知した先輩メ
イドはヘラの母親に報告。それをきっかけに女たちの思いがぶつかり合い、不
可解な出来事が起きるようになる……。
オープニングから意味深です。飛び降り自殺する女。それに遭遇するウニたち。
これって何かの暗示なのか？
全体をミステリアスな雰囲気が包みます。ただし、大きな謎があって、それを
追求するドラマというわけではありません。また、いわゆるホラー的な恐さが
描かれる映画でもありません。しかし、ある意味、ホラーよりも恐く、謎解き
サスペンスよりもナゾに満ちています。
何がそんなに恐くてナゾなのかといえば、女たちのすさまじい情念のぶつかり
合いです。家の主人と関係を持ったことで少しずつ変わっていく主人公のウニ。
夫とウニの不倫・妊娠を知って怒る妻ヘラ。なんとしてもウニに出産させまい
とするヘラの実母。そんな女たちを横目で見つつナゾの行動を取る先輩メイド
のヒョンシク。それぞれの思惑が交差して、オドロオドロしい世界が展開され
ます。
特に目を引くのが映像の見事さ。斬新なアングルからのショット、備品やイン
テリアをはじめ隅々まで凝った豪華な邸宅のセット、ほとんどが室内のドラマ
なのに、まったく飽きることがありません。
それほど過激でもないのに、妙にエロいシーンも印象的。特にウニが風呂掃除
をするシーンは注目。右手に掃除をするウニ、中央にそれを見ているフン、左
手にヘラという三者三様の構図が絶品です。ベッドシーンのアップを使った映
像もかなりのイヤラシさ。
それらの描写を通して、浮かび上がる女たちの憎悪や狂気。ヘラと彼女の実母
によって追い詰められていくウニ。終盤になって彼女はついに復讐を決意しま
す。はたしてそれはどんな復讐なのか。そこに待っていたのはあっと驚く結末。
唐突にも思えるけれど、それほど彼女の憎悪の炎が強かったということでしょ
うか。
その後のラストシーンの一家の姿も何やら意味深。少女ナミの表情は何を示し
ているのか。様々なことを想像させます。
主人公ウニを演じたのは、『シークレット・サンシャイン』（2007年）でカン
ヌ国際映画祭最優秀女優賞を受賞したチョン・ドヨン。やや童顔の純朴そうな
顔が役にピッタリ。抑制的な演技ながら底知れぬものを感じさせます。さらに、
妻ヘラ役のソウ、先輩メイド役のユン・ヨジョン、ヘラの妻役のパク・チヨン
もすべて適役。
イム・サンス監督は、この映画で現代の韓国の超格差社会を描きたかったそう
ですが、確かにそういう面はキッチリ見えています。欲しいものは何でも手に
入れ、すべて金で解決しようとする富豪の人たち。それに対して庶民は……。
まあ、しかし、それより何より「女は怖い！」と思わせられる映画です。男性
が観るとなおさらですね。男性の皆さんは覚悟して観ましょう（笑）。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年8月27日（土）新宿ミラノにて。午後2時10分の回
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