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ヤコブへの手紙（POSTIA PAPPI JAAKOBILLE）
（2009年 フィンランド）（上映時間1時間15分）
監督・脚本：クラウス・ハロ
出演：カーリナ・ハザード、ヘイッキ・ノウシアイネン、ユッカ・ケイノネン、
エスコ・ロイネ
＊銀座テアトルシネマほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.alcine-terran.com/tegami/
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＜ストーリー＞
恩赦を与えられて出所した終身刑の女性レイラ（カーリナ・ハザード）。行く
当てのない彼女は、所長に勧められて盲目のヤコブ牧師（ヘイッキ・ノウシア
イネン）のもとで住み込みで働くことにする。レイラの仕事は、ヤコブ牧師の
もとに毎日届く相談の手紙を読み上げ、返事を代筆するというもの。しかし、
仕事が嫌なレイラは、手紙の束を勝手に捨ててしまう。そんなある日、毎日必
ず届いていた手紙が、一通も来なくなってしまうのだが……。
＜レビュー＞
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心を閉ざした女性を変えた盲目の牧師の生きざま
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フィンランドの映画です。刑務所を恩赦で出たレイラという女性が、ヤコブと
いう老牧師のところで住み込みで働くことになります。仕事は盲目のヤコブの
ところに来る人生相談の手紙を読んで、返事を書くこと。心を閉ざしたレイラ
は、嫌々手伝うものの、やがて手紙が届かなくなって……。
ヤコブ牧師は神に忠誠を近い、相談の手紙にていねいに対応します。レイラは
冷ややかな目で、それを見つめています。最初はまったくかみ合わない2人。と
ころがやがて異変が起きます。
盲目の不自由さにもめげず、穏やかに信仰生活を送っているように思えたヤコ
ブ牧師。しかし、その内面には意外な心理がありました。それを知ったレイラ
の心にも変化が生まれます。
話の筋立て自体はけっして珍しいものではありません。それでもフィンランド
の大自然を舞台に、ヤコブ牧師とレイラの心の内面をあぶりだすような演出は
見応えがあります。
レイラの表情が強烈です。特に目の印象が鮮烈。人生を捨てて心を閉ざしてい
た彼女の冷たい目が、最後には違う表情を見せます。一方のヤコブ牧師の年輪
とやつれを同時に感じさせる表情も印象的。2人によって静かながら濃密な映像
空間が展開されていきます。もう1人の主要人物である郵便配達人も効果的に登
場します。
クライマックスは、レイラによる痛切な告白。悔恨に満ちた心の叫びです。そ
して、それに続くヤコブ牧師によって語られる真相。さらに、その後の思わぬ
エンディング。
単純なハッピーエンドではありませんが、かすかな希望の火が灯されます。号
泣とは行かないものの、しみじみとした感動が味わえます。１時間15分の小品
ですが、実にていねいに作られた味わいのある作品。
欲を言えば、手紙が届かなくなってから後のヤコブ牧師とレイラの交流を、も
う少し時間をかけて描いてもよかった気はしますが。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年1月23日（日）銀座テアトルシネマにて。午後1時40分の回
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