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神々と男たち（DES HOMMES ET DES DIEUX）
（2010年 フランス）（上映時間2時間）
監督：グザヴィエ・ボーヴォワ
出演：ランベール・ウィルソン、マイケル・ロンズデール、オリヴィエ・ラブ
ルダン、フィリップ・ロダンバッシュ、ジャック・エルラン、ロイック・ピシ
ョン、グザヴィエ・マリー、ジャン＝マリー・フラン、オリヴィエ・ペリエ、
サブリナ・ウアザニ、ファリド・ラービ、アデル・バンシェリフ
＊シネスイッチ銀座ほかにて公開
ホームページ http://www.ofgods-and-men.jp/
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＜ストーリー＞
1990年代。アルジェリアの山あいの小さな村に立つ修道院では、フランス人修
道士たちが地元のイスラム教徒たちと宗派を越えた交流をしながら、質素で平
穏な毎日を送っていた。だが、アルジェリア軍とイスラム原理主義者による内
戦が激化し、彼らの周囲にもテロによる犠牲者が出始める。そんな中、修道士
たちの間では、避難すべきか村にとどまるべきか意見が分かれるのだが……。
＜レビュー＞
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厳しい局面に立たされた修道士たちの心の葛藤のドラマ
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1996年にアルジェリアで、7人のフランス人修道士がイスラム過激派と見られる
集団に誘拐・殺害された事件を素材にした映画。事件の全容についてはいまだ
に謎が多いようですが、そこを解明するのではなく、事件に至るまでの修道士
たちの心の葛藤を丹念に追った映画です。
前半は、修道士たちの日頃の暮らしぶりが描かれます。そのタッチは静かで抑
制的。信仰に身を捧げながら、イスラム教徒の人々とも仲良く暮らし、医師で
もある修道士が診療に当たるなど完全に地元に溶け込んだ生活を送る彼らの姿
を淡々と描写。
やがて軍とイスラム原理主義者の対立を背景に、彼らの身辺にも暴力の影が及
んできます。ある日、イスラム過激派が修道院に侵入。この連中が誘拐事件を
起こすのかと思ったら、そうではありませんでした。彼らのリーダーは意外に
も理性的で、何もせずに修道院を去っていきます。
しかし、過激派に対しても平等に接する修道士たちの態度が、今度は軍を刺激。
修道士たちは、ますます危険な状態に追い込まれます。
こうした状況下で、このままとどまるべきか、それとも避難するべきか、修道
士たちは悩み、意見が分かれます。
中盤以降は、そうした修道士たちの内面をじっくりとあぶりだします。セリフ
は必要最小限にして、光と影を巧みに使った厳粛かつ美しい映像で描写。もち
ろんそこでは神の存在が大きな位置を占めているわけですが、同時に危機に陥
った人間がどういう選択をするかという心の軌跡のドラマでもあります。
そして、ついに残ることを決意する修道士たち。その直後の晩餐のシーンがこ
の映画の最大の見どころです。荘厳な音楽（「白鳥の湖」）に包まれて、食事
をする修道士たちの表情をアップでとらえた圧巻のシーン。セリフなしなのに、
彼らの顔の表情から多くのことが伝わってきます。
ところが、その直後に事態は急変して……。
観る人に様々なことを考えさせる余韻の残る秀作です。確かな描写力は、2010
年のカンヌ国際映画祭グランプリにふさわしいもの。
ただし、特に初めのほうは、これといった起伏もなく淡々と進むため、油断す
ると眠くなってしまいそうなのでご注意を。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年3月19日（土）シネスイッチ銀座にて。午後1時50分の回
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