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この愛のために撃て（A BOUT PORTANT）
（2010年 フランス）（上映時間1時間25分）
監督・脚本：フレッド・カヴァイエ
出演：ジル・ルルーシュ、エレナ・アナヤ、ロシュディ・ゼム、ジェラール・
ランヴァン、ミレーユ・ペリエ、クレール・ペロ、ムーサ・マースクリ、ピ
エール・ブノワ、ヴァレリー・ダッシュウッド
＊有楽町スバル座、ユーロスペースほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.konoai-ute.com/
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＜ストーリー＞
パリ市内の病院に勤務する看護師助手のサミュエル（ジル・ルルーシュ）は、
ある日、暴漢に襲われ妊娠中の妻ナディア（エレナ・アナヤ）を何者かに誘拐
される。誘拐犯は、交通事故で病院に担ぎ込まれた指名手配犯サルテ（ロシュ
ディ・ゼム）を病院から連れ出すように指示する。妻を救うために要求に従う
サミュエル。だが、それによって警察からも追われる身となる……。
＜レビュー＞
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スリリングで予想のつかない展開のフランス発サスペンス・アクション
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デビュー作の『すべて彼女のために』が話題を集め、ポール・ハギスにより
『スリーデイズ』としてハリウッドリメイクもされたフレッド・カバイエ監督
の新作。パリを舞台にしたサスペンス・アクションです。
冒頭は謎の男たちの追跡劇。その中で、ある男がバイクにはねられ負傷します。
続いては、一転して幸せそうなカップルの姿。夫は看護師助手のサミュエル、
妻は妊娠中のナディア。
まもなく、夫婦は暴漢に襲われ、ナディアは誘拐されてしまいます。犯人はサ
ミュエルに彼が勤務する病院に入院するある男を連れ出すように指示。その男
とは、冒頭で負傷した指名手配犯のサルテ。妻を救うために仕方なく指示に従
い、サルテを連れ出すサミュエル。それによって彼は警察に追われることにな
ります。
初めのうち、サミュエルは警官から奪った銃でサルテを脅し、妻を救うために
主導権を握ろうとします。しかし、あることから立場が逆転し、今度はサルテ
の命令どおりに動かされます。しかも、そこにサミュエルの苦境を知らない警
察が、彼を捕まえようと必死に追跡します。
これだけでも、かなり面白い展開。ですが、そこにさらに意外な要素が加わり
ます。悪徳警官グループの存在です。彼らは、自分たちの秘密をサルテとサミ
ュエルに知られ、両者を抹殺しようとします。
まさに二重三重の危機が迫るサミュエル。身重の妻を救うために遮二無二行動
すればするほど、次々に新しいことが起きて、まったく予想がつかない展開に
突入。スリリングなシーンの連続です。
脚本も見事なら演出も見事。特に関心させられるのが映像です。サミュエルの
顔のアップで彼の心情をリアルに描いたり、スピーディーでキレのあるアクシ
ョンシーンで観客をハラハラさせたりと、緩みがありません。その中でも、地
下鉄の駅や線路で展開されるアクションが迫力満点で見応え十分です。
悪徳警官たちの悪事の証拠のビデオ探しと、サミュエルの妻の危機をリンクさ
せたクライマックスもスリリング。そこで、警察署を混乱させるのに使われる
手段がユニーク。ひねりの効いた後日談を含め、最後の最後まで楽しませてく
れます。
1時間25分と短いながら、中身の濃い、緊張感の途切れない映画。まさに快作で
す。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年8月7日（土）ユーロスペースにて。午後3時の回
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