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ラスト・ターゲット（THE AMERICAN）
（2010年 アメリカ）（上映時間1時間45分）
監督：アントン・コービン
出演：ジョージ・クルーニー、ヴィオランテ・プラシド、テクラ・ルーテン、
パオロ・ボナッチェリ、ヨハン・レイゼン、イリナ・ビョークルンド、フィリ
ッポ・ティーミ
＊角川シネマ有楽町ほかにて公開
ホームページ http://last-target.info/
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＜ストーリー＞
殺し屋のジャック（ジョージ・クルーニー）はスウェーデンに滞在中、何者か
に襲われ、襲撃者とともに同行の女性を射殺して逃走する。イタリアの小さな
町に身を隠した彼は、アメリカ人カメラマンとして、神父をはじめ町の人々と
も触れ合い、娼婦クララ（ヴィオランテ・プラシド）と少しずつ親しくなって
いく。そんな中、ジャックは雇い主から狙撃ライフルの製作を依頼されるのだ
が……。
＜レビュー＞
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ヨーロッパ映画のようなタッチの抑制的で哀愁漂うサスペンス
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ジョージ・クルーニー主演のアメリカ映画。なれど、ヨーロッパ映画のような
雰囲気を漂わせた作品です。
主人公は背中に蝶のタトゥーを持つアメリカ人の殺し屋ジャック。スウェーデ
ンで女といるところを何者かに襲われ、返り討ちにすると同時に女も殺して逃
走。イタリアの田舎町に身を隠した彼は、地元の神父などと交流を持ち、娼婦
のクララと親しくなっていく。そんな中で、雇い主から狙撃ライフルの製作を
依頼される……。
写真家として活躍し、2007年の『コントロール』でデビューしたアントン・
コービン監督は、あくまでも抑制的に殺し屋ジャックの軌跡を追います。寡黙
で冷徹という彼の性格もあって、セリフは最小限。仰々しいところはまったく
ありません。銃撃シーンも、冒頭の襲撃場面やクライマックスなどにわずかに
登場するのみ。
そんな中で中心的に描かれるのは、ジャックの心の揺らぎです。孤独な殺し屋
稼業を続けてきたものの、そろそろ引退の日が近づいている彼の心が、田舎町
の神父や娼婦クララとのふれあいによって少しずつほぐれていきます。
その一方で、サスペンスとしての緊張感もドラマの進行とともに高まっていき
ます。依頼されたライフルの製作に関わる謎の女殺し屋の出現、雇い主の奇怪
な行動、神父や娼婦クララもなにやら謎めいた人物として描かれ、ジャックの
心に疑念を膨らませていきます。
ジャックによるライフル製作の過程を淡々と追った映像が印象的。さらに、舞
台となるイタリアの田舎町の風景も効果的に織り込まれ、クライマックスに向
かって緊張感は最高潮に達します。
はたして、ジャックの周囲で何が起きているのか？
謎の女との控えめながらヒリヒリするやり取りに続くクライマックス。よくあ
るパターンとはいえ、哀愁が漂う余韻の残る結末です。
孤独な殺し屋の揺れ動く心理を表現したジョージ・クルーニーの過去の作品と
はやや異質な演技に加え、彼を取り巻く女優陣がエロティック（娼婦クララの
ヴィオランテ・プラシド、謎の女殺し屋のテクラ・ルーテン）。
ちなみに、ジュージ・クルーニーは製作にも名を連ねています。ハリウッドの
メインストリームに位置しつつ、それとはまったく違うテイストの映画に関わ
りヒットさせるセンスに感心。
ただし、邦題は違うほうが良かったのでは？「アメリカから来た男」とか……。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年7月2日（土）角川シネマ有楽町にて。午後2時20分の回
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