リトル・ランボーズ(SON OF RAMBOW)


(2007年 イギリス・フランス)(上映時間1時間34分)
監督・脚本:ガース・ジェニングス
出演:ビル・ミルナー、ウィル・ポールター、ジェシカ・スティーヴンソン、
ニール・ダッジェオン、ジュール・シトリュク、エド・ウェストウィック
*シネマート新宿ほかにて公開
ホームページ http://rambows.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

<ストーリー>
1982年のイギリス。絵の得意な少年ウィル(ビル・ミルナー)は、父親が亡く
なり、教会の厳しい戒律を守る母親に育てられていた。ある日、彼は学校きっ
ての悪ガキ、リー・カーター(ウィル・ポールター)と知り合う。両親が不在
の彼は兄だけを頼りにしていた。そんな2人はアクション映画『ランボー』に
魅せられ、リーの兄のカメラを使ってヒーロー映画の撮影を始めるのだが……。

<レビュー>
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
映画作りを通して心を通わせるワケありの2人の少年
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

子供が映画やテレビのヒーローに熱中するのはよくあること。それをネタにし
た青春友情物語です。ガース・ジェニングス監督が、自らの少年時代の体験を
モチーフにしたそうです。

主人公のウィルは父親を亡くし、教会の厳しい戒律を守る母親に育てられてい
ます。テレビや映画など、すべての娯楽を禁じられています。

一方、ウィルが通う学校で一番の悪ガキのリーは、老人ホームを経営する両親
が不在で、兄だけを頼りに生きています。

どちらも家庭に問題を抱えたそんな2人が、ある日たまたま知り合いになり、
スタローン主演の『ランボー』に憧れて、リーの兄のカメラでアクション映画
を撮り始めます。

ウィルとリーの生き生きとした姿がこの映画の最大の魅力です。ありがちな青
春友情物語とはいえ、友情の媒介になるのが映画作り、それも『ランボー』を
お手本にしたアクション映画というのが秀逸。本気モードで撮影するものの、
ヘンなカカシを敵に見立てたり、犬の人形を空に飛ばしたり、何ともほほえま
しい撮影風景です。

ウィルの夢の中の世界を映像化したり、フランスから交流に来た子供のようす
を大げさに面白おかしく描くなど、遊び心もタップリ。

映画作りを通して友情を育むウィルとリーですが、フランスから来た子供が
「自分も仲間に入れてくれ」と申し出たあたりから、2人の関係に暗雲が漂い
ます。

そして起きるとんでもない出来事……。

単純に子供同士の交流を描くのではなく、その裏にある残酷さや苦難もきちん
と描いているので、彼らの成長が自然なこととして受け止められます。

ラストにはホッとする気のきいた仕掛けが用意されています。観終わって温か
な気持ちになれるはず。

ウィルとリー役の2人の子役が芸達者ぶりを発揮。1980年ごろの子供の雰囲気
がよく出ています。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
(よくある青春友情物語ですが、『ランボー』もどきの自主映画作りを軸にし
たのが効いています。温かな気持ちになりたい方はぜひどうぞ。)
                             (田中ひろあき(ぽち))

〔鑑賞データ〕
2011年1月10日(月)シネマート新宿にて。午後1時10分の回


[「り」のページ]