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ロンドン・ブルバード −LAST BODYGUARD−
（LONDON BOULEVARD）
（2010年 イギリス）（上映時間1時間44分）
監督：ウィリアム・モナハン
出演：コリン・ファレル、キーラ・ナイトレイ、デヴィッド・シューリス、ア
ンナ・フリエル、ベン・チャップリン、 レイ・ウィンストン
＊ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国公開
ホームページ http://www.london-boulevard-movie.com/
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＜ストーリー＞
３年の刑期を終えて出所したミッチェル（コリン・ファレル）はギャングの世
界から足を洗うことを決意する。そんな時、ひょんなことから若くして隠遁生
活を送る元トップ女優シャーロット（キーラ・ナイトレイ）のボディガード兼
雑用係の職を得る。ところがそんな中、ギャングのボス、ギャントがミッチェ
ルを気に入り、仲間に引き込もうと誘いをかけてくる。ミッチェルが断ると怒
ったギャントは思わぬ行動に出る……。
＜レビュー＞
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スタイリッシュでクールなイギリス発のノワール映画
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マーティン・スコセッシ監督の『ディパーテッド』の脚本を担当し、アカデ
ミー賞最優秀脚色賞を受賞したウィリアム・モナハンが自身の脚本で監督デビ
ューを果たした作品。
主人公は、３年の刑期を終えて出所した男ミッチェル。隠遁生活を送る女優シ
ャーロットをパパラッチから守るボディガード＆雑用係として雇われる。そん
な中、借金取りをする悪友を手伝ったことがきっかけで、裏社会のボスのギャ
ントに見込まれたミッチェルは、ギャング仲間に誘われる。それを断固拒否し
たミッチェルに対して、怒ったギャントの魔の手が伸びる……。
クールでありながら、許せないことに対しては断固と立ち向かう主人公ミッチ
ェルの人物造型をはじめ、モナハン監督が脚本を手がけた『ディパーテッド』
のオリジナルの香港映画『インファナル・アフェア』を思い起こさせるような
ノワール映画です。
とはいっても、そこに漂うのは香港ノワールともフレンチノワールとも違う独
特の空気感。オープニングからラストまで、スタイリッシュで、テンポの良い
展開が続きます。ロンドンの街の風景、こだわりのファッション、ボブ・ディ
ランやヤードバーズの曲なども飛び出す古めの音楽も含めて、独特の雰囲気が
漂います。
コリン・ファレル演じるミッチェルのクールさが際立ちます。熱いものを内に
秘めて抑制的に振る舞うバランスが絶妙。それに対するのはキーラ・ナイトレ
イ演じるシャーロット。陰を背負った女を好演しています。
中盤から後半へと進んでも、スピード感とスタイリッシュなタッチは健在。そ
れが張り詰めた緊張感を生み出しています。ホームレス、危険な若者たち、セ
レブを執拗に追うハパラッチなど、ロンドンの社会情勢も背景として描きこま
れています。
少しずつ心を通わせるようになるミッチェルとシャーロット。その一方で、ミ
ッチェルに忍び寄る黒い影。酒とドラッグに溺れるミッチェルの妹、ミッチェ
ルの友人のホームレス、汚職警官、暴力に走る若者達など多彩な人物も絡んで
きて、次第に窮地に追いこまれていくミッチェル。クライマックスはいよいよ
ボスとの決戦。ボスを演じるレイ・ウィンストンも貫禄十分。
ラストは、いかにもこの手のノワールらしい哀しい結末。ただし、ここでも感
情過多の描写はなし。スタイリッシュでクールなタッチは変わりません。その
おかげで余韻が漂うラストになっています。
残念なのは、あまりにテンポよく進むせいか、ミッチェルとシャーロットのラ
ブ・ロマンスに深みがないこと。この映画は、２人のロマンスよりも、袋小路
に入り込んだ人々のターニングポイントのドラマとして観るべきでしょう。後
半のシャーロットのマネージャーの行動が、それを物語っていると思います。
これまであまり目にする機会のなかったイギリス発のブリティッシュ・ノワー
ル。コリン・ファレルとキーラ・ナイトレイの共演もあって、ノワール好きな
らそれなりに楽しめると思います。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年11月9日（水）試写にて（京橋テアトル試写室）
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