|
前橋ヴィジュアル系
（2011年 日本）（上映時間1時間45分）
監督・原案：大鶴義丹
出演：風間俊介、黄川田将也、杉浦太雄、藤田玲、八代みなせ、森下悠里、新
城隼人、ダイアモンド☆ユカイ、マーティ・フリードマン、つまみ枝豆、徳光
和夫、heidi.、宍戸開、吉田羊、加藤和樹
＊シネ・リーブル池袋で先行公開。順次全国公開
ホームページ http://maebashivisual.com/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
昼間は姉夫婦の農作業を手伝いながら、ビジュアル系バンド「プリンシパル」
のメンバーとして活動するタクジ（風間俊介）。いつかはプロのミュージシャ
ンになることを夢みていたが、ライブの観客はせいぜい20人だった。そんなあ
る日、リーダーのジュン（黄川田将也）が家業を継ぐためバンドを抜けること
になり、まもなくタクジも音楽を捨てる決意をする。だが、農協の職員マヨコ
（八代みなせ）との出会いによって、彼の運命は大きく変わる……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
農村のビジュアル系バンドを描いた青春ストーリー
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
群馬の前橋で農業をしながらヴィジュアル系バンドで活動する青年の青春ス
トーリー。
成功する夢を持ちながら、まったく芽が出ず苦悩する主人公タクジ。メンバー
の脱退などもあって、いやおうなく現実と向き合うことに。姉の妊娠などもあ
り、夢をあきらめて農業に専念することを考えるが……。
タクジを中心にバンドメンバーや周囲の人々の姿を、ユーモアを前面に押し出
しながら描いています。前橋という田舎（失礼！）とヴィジュアル系バンドと
いうギャップを使った笑いが満載。シビアな現実も徹底して明るく楽しく描き
ます。
バンドシーンもなかなかの出来（ただし、演奏は別物で口パクっぽい感じが…
…）。ライバルのパンクバンドとの確執と友情、主人公と農協に勤める女の子
との交流など、青春映画らしいポイントもキチンと押さえています。まさしく
王道。実にまっとうな青春ストーリーです。
後半には、主人公が音楽にのめり込んだ原点も描かれ、姉や亡き父母との切な
いエピソードなどが登場。観客をホロリとさせます。
深みはないものの、楽しく笑って爽やかな気分になれる青春ストーリーとして
は、まずまずの映画でしょう。
ただし、クライマックスのフランス行きのネタはどうなんでしょう？「変わり
たい」と思っていた主人公が、「このままの自分でいいんだ」と自己肯定する
着地点には納得ですが、そこにいたる経緯がバタバタしていて、心に響いてき
ません。あそこまで笑いに走らずに、もっと別な仕掛けを考えてもよかったの
では？
その後の詐欺師のニュースネタも余分だと思うのですが。ましてエンドタイト
ルのあとのおまけときたら……。
監督・原案は俳優・作家の大鶴義丹。あの唐十郎の息子が、こういうフツーの
映画を撮るというのはちょっと意外でした。まあ親は親、子は子ですからね。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年2月14日（月）映画美学校試写室にて
[「ま」のページ] |
|