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まほろ駅前多田便利軒
（2011年 日本）（上映時間2時間3分）
監督・脚本：大森立嗣
出演：瑛太、松田龍平、片岡礼子、鈴木杏、本上まなみ、柄本佑、横山幸汰、
梅沢昌代、大森南朋、松尾スズキ、麿赤兒、高良健吾、岸部一徳
＊新宿ピカデリー、有楽町スバル座、ユーロスペースほかにて公開
ホームページ http://mahoro.asmik-ace.co.jp/
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＜ストーリー＞
東京のはずれ、まほろ市の駅前で便利屋を営む多田啓介（瑛太）は、ある日、
中学時代の同級生、行天春彦（松田龍平）と出会う。行天は、いきなり"今晩泊
めてくれ"と言い出す。最初は断るが、一晩だけという約束で了承する多田。だ
が、結局そのまま行天は住み着いてしまう。２人は、飼い主のいなくなったチ
ワワの引受先探しや、生意気な小学生の塾の送迎といった様々な仕事をこなす
が、ある事件に関わったことから自らの忘れられない過去と向き合うことにな
る……。
＜レビュー＞
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ゆるい雰囲気のコメディーに人生の苦悩や悲しみがキッチリと
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直木賞を受賞した三浦しをんの小説を『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』の
大森立嗣監督が映画化。
主人公は、中途半端な町「まほろ市」の駅前で便利屋を営む多田という男。あ
る日、彼は中学の同級生の行天と再会。ひと晩だけのつもりで、事務所兼住居
に泊めるが、行天はそのまま住み着き２人は一緒に便利屋の仕事をする……。
バディムービー的な設定ながら、ここには派手さも、お気楽さも、甘い感傷も
ありません。ゆるい雰囲気のコメディーの中に、人生の痛さや悲しさがキッチ
リ捉えられているのは、いかにも大森監督らしいところ。２人の会話の微妙な
間で、それぞれの感情を的確に表現する演出も見事。
２人のキャラが秀逸です。節度を守ってマジメに仕事をする多田。それに対し
て、いい加減で強引な行天。そんな２人が処理するのは困った依頼ばかり。預
かったチワワの飼い主は夜逃げして、新しい飼い主を探すことに。戸の修理を
依頼された売春婦にはＤＶ男がいて、それを撃退するハメに。塾の迎えを依頼
された小学生は、なんとヤクの運び屋だった！
２人のやり取りはユーモラス。思わずクスクス笑ってしまう会話の連続です。
多田が「何じゃこりゃあ〜！」と叫んで、行天が「誰それ？」と返すあたりの
面白さ（松田優作か！？）。
ただし、いつもオチャラケているわけではありません。いざという時には２人
とも熱くなり、マジに行動します。そんな時に彼らが口にする含蓄のある言葉
が印象的。お説教臭さがなくて、素直に心に響きます。
やがてある事件が起きて、２人の背負った闇が明らかになり、彼らはそれに向
き合うことになります。人生の苦しさや悲しみ、特に親子関係を中心とした人
間関係の難しさが、ヒシヒシと伝わってきます。
明確な救いやハッピーエンドが用意されているわけではありません。しかし、
ネガティブでもありません。ある事件とその後日談を通して、人間が変われる
ことを示唆。ラストの２人の姿からポジティブな空気が伝わってきて、観終わ
って温かな気持ちになれます。
瑛太、松田龍平のコンビはこれ以上ないハマリ役。脇を固める、片岡礼子、鈴
木杏、本上まなみの女優陣が、いずれも存在感を醸し出しています。大森監督
の父親の麿赤兒と弟の大森南朋が顔を出しているのがご愛嬌。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年4月23日（土）シネ・リーブル池袋にて。午後2時20分の回
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