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毎日かあさん
（2011年 日本）（上映時間1時間54分）
監督：小林聖太郎
出演：小泉今日子、永瀬正敏、矢部光祐、小西舞優、正司照枝、古田新太、大
森南朋、田畑智子、光石研、鈴木砂羽、柴田理恵、北斗晶、安藤玉恵、遠山景
織子
＊新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほかにて公開
ホームページ http://www.kaasan-movie.jp/
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＜ストーリー＞
漫画家のサイバラリエコ（小泉今日子）は、６歳の息子ブンジ（矢部光祐）と
４歳の娘フミ（小西舞優）を育ている。子育てと仕事で慌しい毎日を送るサイ
バラ。だが、彼女の夫で元戦場カメラマンのカモシダ（永瀬正敏）は、アル
コール依存症を抱えて入退院の連続だった。少しも良くならないどころかます
ます悪くなるカモシダ。サイバラはついに離婚を決意するのだが……。
＜レビュー＞
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何気ない日常を生き生きとユーモラスに描いた先にある感動
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人気漫画家・西原理恵子が日々の出来事を綴った毎日新聞連載中の漫画の映画
化です。西原一家のオバカな行状を本音丸出しでコミカルに描きつつ、ときど
きホロッとさせる原作の良さがそのまま発揮された映画です。
同じ西原家を題材にした映画でも、少し前に公開になった東陽一監督の『酔い
がさめたら、うちに帰ろう。』は元夫の鴨志田穣の原作ということで、あくま
でも彼の目線のドラマ。それに対して、こちらは西原目線。彼女の独白という
スタイルでドラマが進行します。
滑り出しは、主人公のサイバラと2人の子供、そしてサイバラの母やアシスタン
ト、さらに近所のお母さん仲間などが登場。ユーモラスなタッチでバカバカし
くも微笑ましい西原家の日常が描かれます。なかでも、ブンジという息子が強
烈なキャラでサイバラを振り回します。それにまったくひるむことなく、真っ
向からぶつかるサイバラの肝っ玉母さんぶり。
アニメを使ったり、想像＆妄想の世界を映像化したところなど、楽しくてちょ
っとポップな世界も印象的。
そして、アルコール依存症の夫カモシダが登場。禁酒の誓いを立てながらすぐ
に破り、入退院を繰り返しては血を吐く彼に振り回されるサイバラ。しかし、
ここもお涙頂戴の悲劇として描いたりはしません。カモシダの困った行状さえ
笑い飛ばしてしまいます。土産の寿司だといいながら、中を開けたら柴犬の子
犬。それを見たサイバラが「寿司と犬を間違えるか！」と一喝……。
あまりのカモシダの行動についに離婚を迫るサイバラ。その後、ようやく本気
でアルコール依存症を克服しようとするカモシダ。そして、やがて一度離れた
家族が再び元に戻ります。しかし、その後には大きな悲劇が……。
というわけで、後半はかなりシビアな展開。ですが、そこも悲劇的に煽ること
なく抑制的に静かに描きます。カモシダが家族の写真をひたすら撮りまくる
シーン、病院で明るく振る舞うサイバラに彼が感謝の言葉を述べるシーン。思
わずホロッとさせられます。そこに至るまでの笑いに満ちた生き生きとした描
写があるからこそ、より深い感動が生まれるのです。
小泉今日子のなりきりぶりが見事です。特に表情を変えずにキツイことを平気
で言うあたりが、いかにもサイバラらしい雰囲気。永瀬正敏の熱演ともども素
晴らしい演技。
「あの時出会わなければ」「もっと早く突き放していれば」。そんな後悔はあ
ってもこれが運命。それを受け入れた上で前向きに生きていくことの大切さが
伝わってきます。観終わって元気をもらえる映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年1月6日（日）新宿ピカデリーにて。午後4時50分の回
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