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メタルヘッド（HESHER）
（2010年 アメリカ）（上映時間1時間46分）
監督・脚本・編集：スペンサー・サッサー
出演：ジョセフ・ゴードン＝レヴィット、ナタリー・ポートマン、レイン・ウ
ィルソン、デヴィン・ブロシュー、パイパー・ローリー、ジョン・キャロル・
リンチ、フランク・コリソン、オードリー・ヴァシレフスキ、ポール・ベイツ
＊シアターN渋谷ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.metalhead-film.com/
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＜ストーリー＞
自動車事故で母を失った13歳の少年ＴＪ（デヴィン・ブロシュー）。一緒に暮
らす父ポール（レイン・ウィルソン）は妻の死から立ち直れずにいた。そんな
ある日、長髪に半裸の粗暴な男ヘッシャー（ジョセフ・ゴードン＝レヴィッ
ト）がＴＪの家に住みついてしまう。大音量でヘビーメタルを流し、粗野な言
動で様々なトラブルを起こすヘッシャーだったが……。
＜レビュー＞
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傷ついた少年を再生させるのは、傍若無人なヘビメタ男だった！
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心に傷を負い、13歳にして早くもどん詰まりの人生に落ち込んだ少年が、「あ
る人」との出会いによって再生していくというお話。ありがちな話なれど、ユ
ニークなのがその「ある男」が、イカレまくったヘビメタ男だというところ。
母を交通事故で亡くし、心に傷を負い、学校ではいじめにあう主人公の少年Ｔ
Ｊ。父親と祖母と３人で暮らすが、父親はショックから立ち直れず引きこもっ
ていた。そんな彼らの前に、長髪に半裸の傍若無人なヘビメタ男ヘッシャーが
現れる……。
ヘッシャーときたら、やることなすことデタラメです。気に入らないヤツの車
を燃やすなんて朝飯前。ルールやマナーは完全無視。強烈過ぎるキャラです。
あまりにもイカレているせいで、思わず笑ってしまう場面まであります。
ＴＪとヘッシャーの心温まる交流などはほとんど描かれません（ＴＪの祖母と
ヘッシャーが不思議に気が合ったりして……）。ＴＪは、ヘッシャーに単純に
感化されるわけでも、反面教師にするわけでもありません。むしろ振り回され
て迷惑するばかり。この手の再生物語では、あまりお目にかかれない展開です。
それなのに、ＴＪが少しずつ変化していくようすが自然に受け止められるから
不思議なもの。デタラメでハチャメチャなのに、きちんと少年の再生に結びつ
け、感動へとつなげていく脚本と演出の妙。オリジナルで、これだけ個性的な
作品をつくり上げた新人監督スペンサー・サッサーは、かなりの才能の持ち主
と見ました。
自分のピンチを救ってくれたスーパーのレジ係（演じるのはナタリー・ポート
マン）に対する、ＴＪの淡い恋心もドラマを牽引する要素として効果的。
ドラマの終盤近く、ＴＪは自分の意思を明確に口にするようになり、いじめっ
子に対しても猛然と向かっていきます。同時に彼が執着するクルマのナゾが明
らかになります。
ラストは葬儀シーン。そこでヘッシャーが、まさかあんな行動に出るとは。い
かにも彼らしいお騒がせのシーンですが、同時に感動的でもあります。そして、
さりげなくＴＪと父親の再出発へと結びつける心憎い展開。
ヘビメタ男のジョセフ・ゴードン＝レヴィット（『（500）日のサマー』）のイ
カレぶりが見事。ＴＪのデヴィン・ブロシュー、父親役のレイン・ウィルソン、
祖母役のパイパー・ローリーも好演。ありきたりの再生物語とはちょっと違う、
不思議な魅力を持った映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
＜ぽち＞
〔鑑賞データ〕
2011年7月9日（土）シアターＮ渋谷にて。午後1時45分の回
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