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モールス（LET ME IN）
（2010年 アメリカ）（上映時間1時間56分）
監督・脚本：マット・リーヴス
出演：コディ・スミット＝マクフィー、クロエ・グレース・モレッツ、イライ
アス・コティーズ、リチャード・ジェンキンス、カーラ・ブオノ、サーシャ・
バレス、ディラン・ケニン、クリス・ブラウニング、リッチー・コスター、デ
ィラン・ミネット
＊TOHOシネマズ六本木ヒルズ、シネマスクエアとうきゅうほかにて全国公開
ホームページ http://morse-movie.com/
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＜ストーリー＞
母親と2人で暮らし、学校でイジメにあっている12歳の孤独な少年、オーウェン
（コディ・スミット＝マクフィー）は、ある日、隣に引っ越してきたばかりの
謎めいた少女アビー（クロエ・グレース・モレッツ）と出会う。お互いに孤独
な2人はやがて心を通わすようになり、部屋の壁越しにモールス信号で連絡を取
り合う。だが、まもなくオーウェンはアビーの秘密を知ってしまう。そんな中、
町では残酷な猟奇殺人事件が連続して発生する……。
＜レビュー＞
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スウェーデン映画の名作スリラーをハリウッドで忠実にリメイク
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孤独な少年と秘密を抱えた少女の切ない初恋を描いた、スウェーデン映画の名
作スリラー『ぼくのエリ 200歳の少女』をハリウッドでリメイクした作品。監
督・脚本が『クローバーフィールド／HAKAISHA』のマット・リーヴス監督とい
うことで、どんな映画になるか心配しましたが、リメイク版としてはなかなか
の出来に仕上がりました。
何しろ舞台がアメリカに変わった程度で、登場人物やストーリーなど、ほとん
どオリジナルに忠実にリメイク。オリジナルが素晴らしい映画だけに、あえて
それを崩さなかったのは正解でしょう。
前半は、離婚間近の母と暮らし学校でひどいいじめを受けている孤独な少年と、
隣の部屋に越してきた謎めいた少女が心を通わせる様子が、みずみずしく描か
れます。ホラー的な素材ではあるものの、少年少女の切ない初恋物語を中心に
据えているのはオリジナル版と同じ。ルービックキューブ、モールス信号など、
2人をつなぐ小道具も巧みに使いながら、寂しい魂同士の交流を映し出します。
そして、同時進行で描かれるのが、町で起きる恐ろしい殺人事件。その事件こ
そが少女の秘密に大きく関わってきます。
この手の物語は、少年が少女の秘密を知って結末を迎えるケースが多いけれど、
この映画はその後もドラマが続いていくのが特徴。一度は離れようとするもの
の、結局は離れられない少年。それによって引き起こされる恐ろしい出来事。
クライマックスでは、少年の思いに応えた少女が彼のピンチを救います。ステ
ィーヴン・キングの作品に見られるようなこの展開も、オリジナルとほぼ同じ
です。
ベッドに入り込んできた少女に少年が「つきあってくれる？」と尋ねるほほえ
ましいシーン、少女が血を吸った唇で少年とキスする官能的なシーンなど、オ
リジナルの印象的なシーンもたくさん登場します。
オリジナルとの違いといえば、ドラマの背景となる全体を包む空気感でしょう
か。同じ雪に包まれた町を舞台にしていても、オリジナルほどの凍てつくよう
な寒々しさは感じられません。その分、雰囲気で恐怖や切なさを増幅するより
も、ストレートに少年と少女の結びつきやホラー的な恐怖を描いています。
モールス信号を使ったラストシーンもやや印象が違います。切なさの漂うオリ
ジナル版に対して、リメイク版はむしろ純愛を全うする2人のきらめきを感じさ
せます。
オリジナル版で少年と少女を演じた2人も良かったけれど、今回のコディ・スミ
ット＝マクフィー（『ザ・ロード』）とクロエ・グレース・モレッツ（『キッ
ク・アス』）も絶妙なキャスト。特にクロエは透明感と影の部分を同居させた
絶品の演技。やはり、ただものではありません。
さすがにオリジナルには及ばないものの、その魅力は十分に発揮された映画で
す。オリジナルを観ていない人は特に必見でしょう。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
2011年8月6日（土）シネマスクエアとうきゅうにて。午後1時40分の回
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