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女と銃と荒野の麺屋（三槍拍案驚奇）
（2009年 中国）（上映時間1時間30分）
監督：チャン・イーモウ
出演：スン・ホンレイ、ニー・ターホン、ヤン・ニー、シャオ・シェンヤン、
チェン・イェ、マオ・マオ
＊シネマライズほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.kouya-menya.jp/
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＜ストーリー＞
荒涼とした大地の中に建つ一軒の麺屋。そこには強欲な主人のワン（ニー・
ターホン）と、虐待を受けるその妻（ヤン・ニー）、妻と不倫関係にある気の
弱い従業員リー、そして他の２人の従業員が住んでいた。ある日、警察官のチ
ャン（スン・ホンレイ）から、妻とリーの不倫を告げられたワンは、彼に２人
の殺害を依頼する。だが、金庫の金に目がくらんだチャンは、ワンを殺害して
しまう……。
＜レビュー＞
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コーエン兄弟のデビュー作をリメイクしたチャン・イーモウ監督の怪作
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中国を代表する巨匠チャン・イーモウ監督が、コーエン兄弟のデビュー作『ブ
ラッド・シンプル』を、リメイクした映画。
舞台は中国の荒野。そこに建つ１軒の麺屋を営むのは、強欲な店主のワンと虐
待を受ける妻、そして妻の不倫相手の従業員、さらに２人の従業員。まもなく
店主は警官から妻の不倫を知らされ、妻と不倫相手の殺害を依頼。しかし、金
庫の金に目のくらんだ警官は店主を裏切り彼を殺害。そこに不払い賃金を金庫
から盗もうとする従業員がやってきて……。
大筋の話はオリジナルを踏襲。欲望を抱えた人々が、ちょっとした思惑違いか
らとんでもない目にあう様子を、シニカルな視点で描いています。
しかし、それ以外はかなり大胆にイーモウ監督の独自の世界が、これでもかと
炸裂しています
まず目を引くのが、まるで夢の中の世界のような、この世のものとは思えない
映像世界。奇岩に覆われた荒涼とした荒野、そこに建つ麺屋の建物、登場人物
の鮮やかな色の衣装。いったいいつの時代なのかわからない、ぶっ飛んだ映像
の連続です。
笑いの要素が強いのも大きな特徴。冒頭で、妻が外国人から銃を買うシーンな
どは、ドタバタ喜劇そのものです。
店員たちが、麺をピザのようにクルクル回していくシーンなど、けれん味たっ
ぷりの映像も満載。エンタメ度はかなり高くなっています。
警官、妻、不倫相手、従業員、それぞれの欲望が交差して、あらぬ方向へどん
どん暴走していく後半。セリフなしで続くシーンが圧巻。オリジナルを知って
いる人も、それなりの緊張感を持って観られるのではないでしょうか。
クライマックスの警官ＶＳ妻のバトルも見応えアリ。
日本ではほとんど無名ながら、役者たちの演技もなかなかのもの。ちょっと童
顔の妻役のヤン・ニーがいい味を出しています。
コーエン兄弟の風味を残しつつ、大胆な味つけをした怪作。『ＨＥＲＯ』『Ｌ
ＯＶＥＲＳ』などを監督し北京オリンピックの開会式の演出もして、完全に巨
匠のイメージが定着したチャン・イーモウ監督が、こういう怪作を撮るとは面
白い。そういう意味で興味深い映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年9月18日（日）シネマライズにて。午後3時30分の回
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