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ラビット・ホール（RABBIT HOLE）
（2010年 アメリカ）（上映時間1時間32分）
監督：ジョン・キャメロン・ミッチェル
出演：ニコール・キッドマン、アーロン・エッカート、ダイアン・ウィースト、
タミー・ブランチャード、マイルズ・テラー、ジャンカルロ・エスポジート、
ジョン・テニー、パトリシア・カレンバー、ジュリー・ローレン、サンドラ・
オー、アリ・マーシュ
＊TOHOシネマズシャンテほかにて公開
ホームページ http://www.rabbit-hole.jp/
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＜ストーリー＞
ベッカ（ニコール・キッドマン）とハウイー（アーロン・エッカート）のコー
ベット夫妻は、８ヶ月前に事故で一人息子のダニーを亡くしていた。それ以来、
夫婦の心は次第にすれ違い溝が生まれていく。絶望感を抱えたままのベッカは、
周囲にも辛く当たるようになる。そんなある日、彼女は息子を轢いた少年を偶
然見かけ、彼と言葉を交わすようになるのだが……。
＜レビュー＞
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子供を亡くした夫婦の心情がリアルに伝わる
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製作を兼ねたニコール・キッドマンが、アカデミー主演女優賞候補になった作
品。監督は、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』のジョン・キャメロ
ン・ミッチェル。もともとは、本作の脚色も担当したデヴィッド・リンゼイ＝
アベアーによるピュリツァー賞受賞の舞台劇だそうです。
主人公は一人息子を８ヶ月前に失った夫婦。最初は一見幸せな夫婦のよう。し
かし、徐々に彼らの抱えた喪失感の大きさが明らかになります。しかも、同じ
く喪失感を抱えていながらも、それに対する向き合い方が夫と妻ではまったく
違います。
痛手から立ち直れずにいる妻は、同じく子供を亡くした両親たちの会に参加す
ることを拒むようになります。一方、次に向かって進みつつあるように見える
夫も、息子を撮影した映像や遺品の数々に執着するなど、違った形で喪失感を
抱えています。
そんな微妙な夫婦のすれ違いが、次第に大きな溝になっていきます。それには
妻の妹の妊娠という出来事も影を落としています。妻は周囲に当り散らすよう
になります。
とりたてて大きな出来事は起きません。あくまでも抑制的なタッチで、日常の
積み重ねを通して、夫婦が負った傷の大きさをあぶりだしていきます。
中盤で妻が息子の事故の加害者となった少年を偶然見かけ、やがて言葉を交わ
すようになるのがドラマの転機。その青年が描くコミックによって「パラレル
ワールド」にいるかもしれないもう一人の自分を思い描き、心が癒されていく
妻。それは加害者の青年にとっての贖罪の過程でもあることが、さりげなく示
されます。
2人の交流はやがて夫の知るところとなり、すでに深くなっていた夫婦の溝をさ
らに深くします。はたして、その先にあるものは？
夫婦を演じるニコール・キッドマン、アーロン・エッカートの演技とジョン・
キャメロン・ミッチェル監督の演出によって、夫婦のリアルな感情が伝わって
くるのがこの映画の素晴らしいところ。そのあまりの痛々しさに目を覆いたく
なるところもありますが、ラストはけっして暗くはありません。再生を予感さ
せるエピソードによって、観客に温かな余韻を残してくれます。
ダイアン・ウィースト演じる妻の母の含蓄に富んだ言葉も効果的。特にラスト
近くの「大きな石がやがて小石に……」という言葉は、観客の胸にも響くこと
でしょう。
地味ですが見応え十分。ニコール・キッドマンはじめ製作側が狙ったとおりの
映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年11月27日（日）TOHOシネマズシャンテにて。午後2時45分の回
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