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サンザシの樹の下で（UNDER THE HAWTHORN TREE）
（2010年 中国）（上映時間1時間54分）
監督：チャン・イーモウ
出演：チョウ・ドンユイ、ショーン・ドウ、シー・メイチュアン、リー・シュ
エチェン、チェン・タイシェン、スン・ハイイン
＊新宿ピカデリーほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://sanzashi.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
文革の嵐が吹き荒れる1970年代初頭の中国。都会育ちの女子高生ジンチュウ
（チョウ・ドンユイ）は、農業実習を通じた再教育のために送られた農村で、
地質調査をしている青年スン（ショーン・ドウ）と出会う。スンはジンチュウ
に好意を寄せ、一方のジンチュウもスンの素直で誠実な人柄に惹かれていく。
だが、2人の愛には過酷な試練が待ち受けていた……。
＜レビュー＞
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ニューヒロイン誕生！文革を背景にしたみずみずしく切ないラブストーリー
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『初恋のきた道』のチャン・イーモウ監督が、文革を背景に描く若い男女のみ
ずみずしく、切ないラブ・ストーリー。
主人公は都会の女子高生のジンチュウ。当時は、文革で高校生は農業実習のた
めに強制的に農村に送られたため、彼女も農村へ。そこで地質調査隊の青年ス
ンと知り合い、次第に心を通わせていく……。
こういう初々しい恋愛を描かせたら天下一品のイーモウ監督。ほんのささいな
ディテールから、２人の恋心を表現していきます。スンがジンチュウを先導す
る際に、手をつなぐのが気恥ずかしくて木の枝を持って先導。枝を持つ２人の
手が過ごしずつ近づいていく……な〜んて見事なシーンが満載。純情でキラキ
ラと輝く恋愛が心に染みます。
スンがジンチュウを誘って水遊びをするシーンもいいですねぇ〜。
こうして親しくなる２人ですが、当時はおおっぴらに恋愛できるような時代で
はなく、しかもジンチュウの父親は右派として糾弾されています。それだけに
母親は娘に苦労のない人生を送ってもらいたいと願っています。それには当面
は恋愛はご法度。
そんなジンチュウの母親の意向を理解して、スンはしばらく会わないことを了
承。「一生待っている」と宣言します。彼が帰る前に、ジンシュウの足の包帯
を直してあげるシーンが絶品。２人の切ない心がヒシヒシと伝わってきます。
その後は二転三転。２人にとってもっと切ない仕掛けが用意されています。正
直なところ、韓流ドラマも真っ青なあざとい展開。しかし、それをベタベタに
描かずに、あくまでも２人の恋心に焦点を当てたところがミソ。
２人がベッドで一緒に寝るシーンなどは、あまりにも純情で笑ってしまうぐら
いです。しかし、それぞれの心の揺れがリアルに伝わるので、ウソくさく感じ
られません。サンザシの絵の洗面器、２人の記念写真といった小道具の使い方
も見事。
ラストはタイトルにあるサンザシの樹を絡めた余韻の残る結末です。ここもけ
っしてお涙頂戴の世界には突入しません。それがかえって切なさを募らせます。
途中で時々挿入される状況説明のテロップが、やや興ざめでしたが……。
こんな陳腐な話を、これだけのドラマにしたチャン・イーモウ監督の手腕が見
事。とはいえ、この映画の最大のヒットは、ヒロインのチョウ・ドンユイでし
ょう。オーディションで選ばれたそうですが、あの笑顔とラストの涙はこの映
画最大の武器。『初恋のきた道』でのチャン・ツィイーの登場を髣髴させます。
よくぞまああんな少女を発見したものです。
ちなみに相手役のショーン・ドウも、若い頃の中井貴一を思わせる好青年ぶり
でした。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年7月10日（日）新宿ピカデリーにて。午後2時40分の回
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