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シチリア！シチリア！（BAARIA）
（2009年 イタリア・フランス）（上映時間2時間31分）
監督・脚本：ジュゼッペ・トルナトーレ
出演：フランチェスコ・シャンナ、マルガレット・マデ、リナ・サストリ、ア
ンヘラ・モリーナ、サルヴォ・フィカッラ、ヴァレンティノ・ピコーネ、ルイ
ジ・ロ・カーショ、ニコール・グリマウド、エンリコ・ロー・ヴェルソ、ミ
ケーレ・プラチド、ラウル・ボヴァ、ガエタノ・アロニカ、モニカ・ベルッチ
＊シネスイッチ銀座、角川シネマ新宿ほかにて公開
ホームページ http://sicilia-sicilia.jp/
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＜ストーリー＞
イタリア・シチリアの田舎町バーリアの貧しい家に生まれたペッピーノは、幼
い頃から大人たちに交じって働きながら成長する。やがて、青年となったペッ
ピーノ（フランチェスコ・シャンナ）は、美しい女性マンニーナと恋に落ちる。
彼女の両親が反対する中、駆け落ちして結婚する２人。そんな中、共産党員と
して活動するペッピーノは、社会の変革を目指して政治の世界へ踏み出すのだ
が……。
＜レビュー＞
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名匠トルナトーレ監督による故郷シチリアへの讃歌
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『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』のイタリアの名匠ジ
ュゼッペ・トルナトーレ監督の最新作。故郷シチリアを舞台に、１人の男の生
き様を描きます。
1930年代のシチリア。主人公のペッピーノは、チーズと引き換えに働きに出さ
れるなど貧しい暮らしを送る少年。やがて成長した彼は共産党員となり、社会
の変革を目指します。同時に、マンニーナという女性に恋をして、彼女の両親
の反対にもめげず駆け落ちしてゴールイン。まもなく子供も誕生します。
なにせ激動の時代を生きた男の人生だけに、2時間31分の映画とはいえ、かなり
駆け足の展開になっています。比較的短いシーンで、多彩なエピソードを次々
に畳みかけて、主人公ペッピーノの人生を描きます。
登場人物の内面がじっくり描かれることはありません。ペッピーノの心情への
迫り方も突っ込み不足です。
また、ペッピーノの家族をはじめたくさんの人々か登場するので、油断してい
ると誰が誰なのかわからなくなってしまいます。
それでも、トルナトーレ監督の故郷への讃歌として観れば、なかなかよくでき
た映画だと思います。何よりも生き生きとした描写が魅力。ペッピーノの人生
を通して、ファシズムの台頭、第二次世界大戦、共産主義の伸張といった激動
の時代を生きたシチリアのごく普通の庶民のたくましさやエネルギッシュさが、
実によく伝わってきます。
ペッピーノの人生には挫折や悲しみもあります。マフィアの存在、政治家の汚
職、改革の挫折といった社会の負の側面も描かれます。それでもポジティブさ
を失うことなく、ユーモアたっぷりにドラマを展開させます。
「３つの岩に１つの石を連続して当てれば幸運になる」といったペッピーノが
子供の頃に聞いた伝説や、彼の娘のイヤリングを後半で効果的に使うあたりは、
さすがに老獪な手腕。美しいシチリアの自然や町並みなども見どころです。冒
頭とつなげたファンタジックなタッチのエンディングにも、味わい深いものが
あります。
笑いあり涙ありの波乱万丈の主人公の生き様を通して、シチリアという土地と
そこで生きる庶民たちの素晴らしさを讃えた、トルナトーレ監督らしい映画と
いえるでしょう。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年1月12日（水）角川シネマ新宿にて。午後2時10分の回
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