|
ソーシャル・ネットワーク（THE SOCIAL NETWORK）
（2010年 アメリカ）（上映時間2時間）
監督：デヴィッド・フィンチャー
出演：ジェシー・アイゼンバーグ、アンドリュー・ガーフィールド、ジャステ
ィン・ティンバーレイク、アーミー・ハマー、マックス・ミンゲラ、ブレン
ダ・ソング、ルーニー・マーラ
＊TOHOシネマズ日劇ほかにて公開
ホームページ http://www.socialnetwork-movie.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
2003年、ハーバード大学に通う19歳のマーク・ザッカーバーグ（ジェシー・ア
イゼンバーグ）は、恋人にフラれた腹いせに、学内のデータベースをハッキン
グして、女子学生たちの人気投票サイトを作る。そんな彼に目を付けたエリー
ト学生が、学内交流サイト作りへの協力を持ちかける。だが、マークは密かに
親友のエドゥアルドを誘って、ハーバードの学生を対象とした独自のソーシャ
ル・ネットワークのサイトを立ち上げる。そのサービスは瞬く間に評判になる
のだが……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
孤独で風変わりな若者の成功を通して描く今の時代
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
世界で5億人が利用するSNSサイト「フェイスブック」の創設者で、若き億万長
者のマーク・ザッカーバーグを描いたドラマ。といっても偉人伝ではありませ
ん。
冒頭の数分間が強烈です。ハーバード大学の学生マークと女友達のエリカとの
会話シーンですが、まったく話がかみ合いません。マークは差別的発言を連発
し、攻撃的にしゃべり続けます。他人とまともにコミュニケーションがとれな
い典型的なオタク青年。お子ちゃまのまんまです。そんな彼のキャラクターを
わずかこの数分で印象付けてしまいます。
当然ながらエリカに嫌われるマーク。ところが、その腹いせに彼女の悪口をブ
ログに書き、同時に大学の寮の名簿をハッキングして、女子学生のランク付け
サイトを作ります。それが原因で処分を受けるものの、学内交流サイトを立ち
上げようとするエリート学生に目をつけられ、彼らのサイト作りへの協力を約
束します。しかし、その裏でマークは、親友のエドゥアルドを誘って独自のサ
イト作りを進めます。
そうやってスタートしたのがフェイスブック。それが世界中に広がるようすと、
そこで起きた友情と裏切りのドラマを描いていきます。
マークが後に起こされた2つの裁判を通じて、それまでに何が起こったのかを明
らかにするのが全体の構成。短いカットを中心に（冒頭の2人の会話シーンがそ
の典型）、いかにもデヴィッド・フィンチャー監督らしいこだわりの映像で、
テンポよく描いていきます。
大量のセリフの山でドラマを進めて行くのも、この映画の特徴です。IT専門用
語が飛び交いますが、それは無視してもOK。見どころはあくまでも人間ドラマ
ですから。
それにしても、変人すぎるマーク。成功と同時に数々のトラブルを抱えるのも
うなずけます。
ただし、フィンチャー監督は彼を完全な悪人として断罪しているわけではあり
ません。ラスト近くで見せる孤独な表情も含めて、彼の多様な内面を映し出し
ます。それを通して彼に対する最終的な評価は観客に委ねています。
途中からは、マークを上回るとんでもない幼児性を持つ青年起業家（ジャステ
ィン・ティンバーレイクが好演）も登場。マークが彼に踊らされる姿も提示し
ます。
マークのような青年は、他にもたくさんいそうです。それがちょっと突っ走っ
ただけで、世の中を大騒ぎさせてしまう現在のネット社会。そんな今の時代に
対する問題提起も感じさせます。
マーク役のジェシー・アイゼンバーグ（『イカとクジラ』『ゾンビランド』）
のなりきりぶりが見事。
波乱の人生には誰でも興味を引かれるもの。その興味を最後まで失わせること
なく、さらに今の時代を的確にとらえた秀作。見応え十分です。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年1月15日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後4時30分の回
[「そ」のページ] |