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SOMEWHERE（SOMEWHERE）
（2010年 アメリカ）（上映時間1時間38分）
監督・脚本：ソフィア・コッポラ
出演：スティーヴン・ドーフ、エル・ファニング、クリス・ポンティアス、ラ
ラ・スロートマン、クリスティーナ・シャノン、カリサ・シャノン、アマン
ダ・アンカ、エミリー・ケンパー、ミシェル・モナハン
＊新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://www.somewhere-movie.jp/
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＜ストーリー＞
ハリウッドの映画スター、ジョニー・マルコ（スティーヴン・ドーフ）は、ロ
サンゼルスのスター御用達のホテル「シャトー・マーモント」で気ままなセレ
ブ生活を送っていた。そんなある日、ジョニーは、離婚した妻と暮らす11歳の
娘クレオ（エル・ファニング）の面倒を、しばらく見ることになるのだが……。
＜レビュー＞
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孤独を抱えたハリウッドセレブの父娘の交流が心にしみる
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『ロスト・イン・トランスレーション』『マリー・アントワネット』のソフィ
ア・コッポラ監督の作品。2010年のヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。そ
の時の審査委員長が、元カレのタランティーノ監督だったということもあり、
当時は何かと話題になりました。受賞に値するかどうかはともかく、心にしみ
る良い映画なのは確かです。
主人公は典型的なハリウッドセレブの映画スター、ジョニー・マルコ。高級ホ
テル住まいで、パーティー三昧。高級車を乗り回し、なぜかポールダンスの出
前を呼び、行きずりの女とすぐ関係を持つ。まさにやりたい放題の自由気まま
な生活。
ところが、そんな彼が、それまでめったに会わなかった離婚した妻のもとで暮
らす11歳の娘クレオと、しばしの間一緒に過ごすことになったのをきっかけに、
少しずつ心に変化が訪れて……。
とりたてて大きなことは起きません。父と娘の何気ない交流が、じっくりと描
かれます。ゲームをしたり、プールサイドで過ごしたり。セリフを最小限にし
て、長めのシーンを積み重ねているのが特徴。２人が過ごすプールサイドの陽
光などの美しい映像も印象的です。それらを通して、父と娘、それぞれの微妙
な心の揺れ動きが自然に観客に伝わってきます。
ホテルが主な舞台になるのも面白いところ。ロスのシャトー・マーモントから、
イタリアの高級ホテルのスイートルームへ。父と娘の過ごした時間を、より濃
密に見せる効果を発揮しています。
２人が感情を高ぶらせるのはそれぞれ１ヵ所のみ。それまで大人の振る舞いを
して感情を抑えていた娘は、家を空けている母がいつ帰ってくるのか不安にな
って、涙を流します。一方、父は、娘と交流を重ねるうちに自分の今までの生
活の空虚さに気づいて、娘と別れてから涙を流します。それまでけっして見せ
ることのなかった感情だけに、よけいに胸に響いてきます。
父の新たな旅立ちを示唆するかのような、余韻の残るラストにも好感が持てま
す。
父役のスティーヴン・ドーフ、娘役のエル・ファニングがともに良い味を出し
ています。ちなみに、エル・ファニングはあのダコタ・ファニングの妹。お姉
さんもかわいいけれど、こちらもかなりの美少女です。
こういう映画が撮れるのも、ハリウッドセレブの出で（父はフランシス・フ
ォード・コッポラ監督）、セレブの孤独感を熟知しているコッポラ監督だから
こそ。ただし、それを狭い世界に留まらない、普遍的な父と娘のドラマに仕上
げた点に感心させられました。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年4月3日（日）シネ・リーブル池袋にて。午後3時10分の回
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