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素晴らしい一日（MY DEAR ENEMY）
（2008年 韓国）（上映時間2時間4分）
監督・脚本：イ・ユンギ
出演：チョン・ドヨン、ハ・ジョンウ、キム・ヘオク、キム・ジュンギ、キ
ム・ヨンミン
＊シネマート新宿ほかにて公開
ホームページ http://www.cinemart.co.jp/subarashii/
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＜ストーリー＞
30代の女性ヒス（チョン・ドヨン）は、1年前に別れた男ビョンウン（ハ・ジョ
ンウ）を見つけるために競馬場へやって来る。ビョンウンと再会したヒスは、
貸したままになっている350万ウォンを返済するように迫る。ビョンウンはすぐ
に返すと約束するが、信用できないヒスは彼に同行する。ビョンウンは知り合
いの女性たちを次々に訪ねて、金を借りるのだが……。
＜レビュー＞
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元カップルの奇妙な一日を描いた温かな作品
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平安寿子の短編小説を韓国のイ・ユンギ監督が映画化。
元カップルの再会劇。とはいうものの、修羅場を演じるわけでも愛の炎が再燃
するわけでもありません。
冒頭に登場するのは、友人とともに競馬場へ足を運ぶビョンウンという男。そ
こに現われたのが1年前に彼と別れたヒスという女。彼女は昔貸した350万ウォ
ンを返せと迫ります。しかし、金のないビョンウンは女友達を次々に訪ね歩い
て金を借り、それを返済に充てようとします。ヒスは彼を自分の車に乗せて同
行します。
2人のそんな奇妙な一日を追いながら、それぞれの心の揺れ動きと変化をさりげ
ないタッチで描写したのがこの映画。けっしてシリアスなドラマではなく、
ユーモラスなところもあります。味のある音楽も含めて巧みな語り口です。
初めのうちは謎だらけ。ヒスがどういう環境にあって、なぜ返済を迫るのかは
明かされません。ビョンウンの近況もよくわかりません。かつての2人の関係の
細部も曖昧です。
ヒスは常に不機嫌でカリカリしています。一方、ビョンウンは楽天的でお調子
者。そんな2人の会話はさっぱり弾みません。しかし、その中から様々なことが
少しずつ見えてきます。ヒスが結婚もせず、失業中であること。ビョンウンも
またけっして順調とはいえない人生を送っていることなど。
ビョンウンは借金のために次々に女友達を訪ねます。女社長、同級生のシング
ルマザー、大学の後輩の女の子、ホステス。彼女たちがビョンウンとどれだけ
深い関係にあるのかは不明ですが、それでも、なぜかみんなビョンウンに金を
貸そうとします。いったい何が彼女たちをそうさせるのか。
ビョンウンに同行するうちに、ヒスは今まで知らなかった彼の意外な一面に気
づくようになります。そこには、彼女をいらつかせるただのお調子者とは違う
顔が……。
まあ現実にああいう男がそばにいたら、何かと厄介には違いありませんが、そ
れでも魅力的なのは確か。そんなビョンウンの隠れた一面を知ったことで、ヒ
スのささくれ立った心に変化が訪れます。
ヒスが、最後の最後に見せる自然な笑顔が、この映画の最大の見どころです。
その後に、2人の出会いの場面をさりげなく挿入する構成も見事。おかげで、観
終わって温かな気持ちになれます。
元カップルを演じたのは、カンヌで主演女優賞を取った『シークレット・サン
シャイン』のチョン・ドヨンと『チェイサー』のハ・ジョンウ。チョン・ドヨ
ンのカリカリぶりと、ハ・ジョンウの能天気さの対比が絶品です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年4月17日（日）シネマート新宿にて。午後1時40分の回
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