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水曜日のエミリア（LOVE AND OTHER IMPOSSIBLE PURSUITS）
（2009年 アメリカ）（上映時間1時間42分）
監督・脚本：ドン・ルース
出演：ナタリー・ポートマン、スコット・コーエン、チャーリー・ターハン、
ローレン・アンブローズ、リサ・クドロー、エリザベス・マーヴェル、アンソ
ニー・ラップ、デイジー・ターハン
＊ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://wed-emilia.jp/
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＜ストーリー＞
ニューヨークで新人弁護士として働くエミリア（ナタリー・ポートマン）は、
事務所の上司ジャック（スコット・コーエン）と恋に落ちる。ジャックには妻
子がいたが、やがてエミリアは妊娠し、ジャックの離婚によって晴れて結婚す
る。だが、生まれた赤ん坊は生後３日で突然死してしまう。悲しみに暮れるエ
ミリアは、ジャックの連れ子ウィリアムともうまく関係を結べず、次第に追い
詰められていく……。
＜レビュー＞
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傷ついたヒロインの心の軌跡をナタリ・ポートマンが表現
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『ブラック・スワン』のナタリー・ポートマンが主演と製作総指揮を務めた映
画。監督は『偶然の恋人』のドン・ルース。早い話が感動の家族ドラマですが、
主人公のキャラクターといい、ストーリー展開といい、一筋縄ではいかない作
品です。
冒頭は、子供を学校に迎えに行く主人公エミリア。しかし、どことなく雰囲気
が変。実は子供のウィリアムは夫の連れ子で関係がギクシャク。その後、ウィ
リアムとのやり取りから、彼女が赤ん坊を失ったことが明らかになります。
それを導入に過去の回想シーンへ。新人弁護士のエミリアが上司と不倫、妊娠
して結婚するという略奪愛。ただし、きわどい話ながら、ベタベタにせずにサ
ラリと描いています。
そして、再び現在進行形のドラマへ。エミリアとウィリアムの交流を中心に家
族ドラマが展開します。
目を引くのがエミリアのキャラ。不倫・略奪愛のせいもありますが、彼女はや
たらに自己主張が強く、ひねくれていて、わめきまくります。正直なところ、
最初のうちまったく共感できず。ナタリー・ポートマンが、なぜこの役を選ん
だのか理解不能でした。
ところが、そのうちに意外な変化が見えてきます。それをもたらすのは、継子
のウィリアム。こちらも相当にひねくれていて、困ったことばかり言いまくり
ます。彼とエミリアとの掛け合いが、不思議な魅力を生み出します。
それと並行してエミリアの背景も見えてきます。母と別れた父親の存在が、彼
女の心に暗い影を落としています。そして、何よりも彼女を屈折させていたの
は赤ん坊の死。後半になると、それがただの事故ではなかったことが示されま
す。それによって、家族に大きな亀裂が入ります。
その後、事件の真相が明らかになるものの、エミリアの望むような方向には進
まないままに……。
思うように行かない人生。そこで起きる様々な出来事を通して、エミリアの心
は少しずつ変化していきます。最初は違和感を持ったエミリアのキャラですが、
最後まで観ると納得できます。彼女を不器用で欠点だらけの人間にしたことで、
ドラマに説得力が生まれ、彼女の変化が自然なこととして受け止められます。
それによって、もたらされるポジティブで温かさを感じさせる結末。池にボー
トを浮かべながら話すエミリアとウィリアムスの姿が印象的。地味ながら、心
に染みる佳作に仕上がっています。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年7月6日（水）ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後2時15分の回
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