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天国の日々（DAYS OF HEAVEN）
（1978年 アメリカ）（上映時間1時間34分）
監督：テレンス・マリック
出演：リチャード・ギア、ブルック・アダムス、リンダ・マンズ、サム・シェ
パード、ロバート・ウィルク、スチュアート・マーゴリン
＊新宿武蔵野館にて公開（2011年8月リバイバル上映）
ホームページ http://days-of-heaven.sky-way.jp/
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＜ストーリー＞
第一次世界大戦が始まって間もない頃、シカゴから放浪の旅に出るビル（リチ
ャード・ギア）と妹リンダ（リンダ・マンズ）、ビリーの恋人アビー（ブルッ
ク・アダムズ）の３人はテキサスの農場で麦刈り人夫として働き始める。まも
なく若き農場主チャック（サム・シェパード）はアビーに惹かれるようになる。
彼の命が長くないと知ったビルは、アビーにチャックと形だけの結婚をさせ、
そのお陰で楽な生活を送る。だが、チャックは妻とビルの関係を疑うようにな
り……。
＜レビュー＞
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傑作絵画のような映像が見事なテレンス・マリックの伝説の名画
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『ツリー・オブ・ライフ』（2011年）で第64回カンヌ映画祭でパルムドールを
受賞した、テレンス・マリック監督の監督第2作。第32回カンヌ国際映画祭で監
督賞を受賞。本作の後、マリック監督は『シン・レッド・ライン』（1998年）
まで20年にわたり沈黙したという点でも伝説的な映画です。
第一次世界大戦が始まって間もない頃、仕事を求めてあちこち放浪する青年ビ
ルと妹リンダ、そして人には妹として紹介していた恋人のアビー。まもなくテ
キサスの農場に流れ着いて、麦刈り職人として働き始める。そんな中、アビー
に好意を持った大金持ちの若き農場主チャックの申し出で、３人は仕事が終わ
った後も農場に残る。やがてチャックはアビーに求婚。彼が余命わずかと知っ
ていたビルは、形だけの結婚をするようにアビーに告げる。こうしてチャック
とアビーは結婚し、ビルは楽な暮らしをする。だが、そのうちにチャックは妻
とビルの関係を疑うようになる……。
話の骨格は特に珍しくもない２人の男と１人の女をめぐる愛憎劇です。しかし、
孤独な大金持ち（しかも若くてイケ面）と、何とか現状を抜け出したい貧しい
青年という対立の構図によって、それ以上のドラマになっています。たとえば、
冒頭に登場する「善人は救われて天国に行き、悪人は苦しめられる……」とい
う宗教的な逸話が、その後の彼らの行動に大きな示唆を与えています。
この映画の最大の見所は映像の素晴らしさです。「マジック・アワー」と呼ば
れる朝焼けや夕焼けの時間を中心に、自然光を生かした美しい映像に目を奪わ
れます。はるかかなたまで続く麦畑、そこで働く麦刈り職人たち、まるで傑作
絵画のような美しい映像が続きます。撮影を担当したのは、名手ネストール・
アルメンドロス。
３人の関係が変化していく場面に、飛行機でやってきた曲芸団を登場させたり、
バッタの大量発生という異常事態を持ってくるあたりの仕掛けも、なかなか面
白い工夫です。
ビルとアビーの関係に気づいたチャックが、ついに大爆発するクライマックス。
大火災から思わぬ悲劇へ。「完全な善人も悪人もいない」というセリフが、冒
頭の善人と悪人の話を受けて何とも意味深です。
その後は、アビーとリンダの後日談が描かれてジ・エンド。悲劇のままエンデ
ィングになだれ込んでもよかった気がしますが、何か明日に続くものを残した
かったのかもしれません。そういえば、『ツリー・オブ・ライフ』も、ポジテ
ィブさを感じさせるエンディングでしたっけ。
宗教的なテイストが強かったり、主人公の妹の独白でドラマが進行するところ
なども、『ツリー・オブ・ライフ』と共通する要素を感じさせました。
スターになる前の若きリチャード・ギア、映画初出演のサム・シェパードが
初々しさを見せています。
テレンス・マリックの才気を十分に感じさせる映画。美しすぎる映像だけでも、
名画と呼ぶ価値のある映画でしょう。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年9月１日（木）新宿武蔵野館にて。午後2時40分の回
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