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ザ・ファイター（THE FIGHTER）
（2010年 アメリカ）（上映時間1時間56分）
監督：デヴィッド・Ｏ・ラッセル
出演：マーク・ウォールバーグ、クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、
メリッサ・レオ、ジャック・マクギー
＊丸の内ピカデリーほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://thefighter.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
1980年代のマサチューセッツ州ローウェル。かつてシュガー・レイ・レナード
と戦ったこともある地元の英雄の元ボクサー、ディッキー（クリスチャン・
ベール）は、今では麻薬に手を染めてすさんだ生活を送っていた。一方、弟の
ミッキー（マーク・ウォールバーグ）もボクサーとして活躍していたが、ト
レーナーのディッキーやマネージャーの母アリス（メリッサ・レオ）に振り回
されて連敗続きだった、。そんなある日、ミッキーはシャーリーン（エイ
ミー・アダムス）という女性と親しくなる。彼女は家族と離れるようにミッ
キーを説得するのだが……。
＜レビュー＞
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濃密な人間ドラマに焦点を当てたボクシング映画
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実話に基づいたボクシング映画。とはいえ、ボクシングシーンよりも、むしろ
人間ドラマに力点を置いた作品です。
名ボクサーのレナードとも戦ったことがある地元のヒーローの元ボクサーを兄
に持つミッキー。彼もボクサーとして活動するものの、マネージャーを務める
母アリスとトレーナーを務める兄に従属させられ、すべては言いなり。おかげ
で、成績も頭打ち状態。しかし、シャーリーンという女性と出会ったことから、
彼の身の上に大きな変化が……。
前半は主人公の置かれた現状がじっくり描かれます。特に目を引くのが、よく
練られた登場人物のキャラクター。常に主役でいないと気が済まない母アリス。
いつまでも過去の栄光にしがみつき、ドラッグに溺れる兄ディッキー。そんな
２人にまったく頭の上がらないミッキー。まるで母の子分のような姉たち。ひ
そかにミッキーを応援する父など、いずれも際立った個性です。
語り口も鮮やかです。ディッキーを取り上げたドキュメンタリー撮影という設
定の導入部から、登場人物の境遇と言動を過不足なく活写します。監督は『ス
リー・キングス』『ハッカビーズ』のデヴィッド・Ｏ・ラッセル。
中盤、ミッキーはシャーリーンという女性と知り合います。そして、彼女の説
得によって母と兄を遠ざけ、新たな体制でボクシングを続けようとします。
シャーリーンのキャラクターも強烈。アリスやディッキーとのバトルは壮絶で
す。ミッキーや周囲の人々も含めて、誰もが欠点を持つ人物として描かれてお
り、この手の映画にありがちなヒーロー的な取り上げ方はなし。そうした人々
によるヒリヒリするようなぶつかり合いが、この映画の大きな見どころです。
後半はボクシングシーンが増えてきます。奇をてらった描写はありませんが、
ツボを押さえた演出です。
クライマックスは世界タイトル戦。それを前にして、一度は母や兄を遠ざけて
自立した主人公に、もう一段の自立を促す展開が効いています。そしていよい
よ決戦へ。
実話がベースだけに、エンドロールで本物のディッキーとミッキーが登場する
のも面白いところ。
第83回アカデミー賞で助演男優賞を受賞したクリスチャン・ベール、助演女優
賞を受賞したメリッサ・レオ（『フローズン・リバー』）の熱演に加え、主役
のマーク・ウォールバーグ、エイミー・アダムスも好演。
ミッキーのボクサーとしての出世物語を盛り上げすぎず、彼の人間としての自
立のドラマに焦点を当てた見応えある映画です。ボクシングシーンよりも、濃
密な人間ドラマを楽しみましょう。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年3月26日（土）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時30分の回
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