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スリーデイズ（THE NEXT THREE DAYS）
（2010年 アメリカ）（上映時間2時間14分）
監督・脚本：ポール・ハギス
出演：ラッセル・クロウ、エリザベス・バンクス、ブライアン・デネヒー、レ
ニー・ジェームズ、オリヴィア・ワイルド、タイ・シンプキンス、ヘレン・ケ
アリー、リーアム・ニーソン
＊丸の内ルーブルほかにて全国公開
ホームページ http://threedays.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
妻子と幸せな日々を送る大学教授のジョン・ブレナン（ラッセル・クロウ）。
ところがある日、妻のララ（エリザベス・バンクス）が突然、警察に殺人容疑
で逮捕される。妻の無実を信じて奔走するジョンだが、やがて裁判で有罪が確
定してしまう。絶望したララは自殺未遂を図る。そこで、ジョンは最後の手段
として脱獄させることを決意し、周到な計画を練り上げていくのだが……。
＜レビュー＞
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刑務所送りとなった妻を救うために夫がとった最終手段
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最近では『この愛のために撃て』が評判になったフレッド・カヴァイエ監督に
よる2008年のフランス映画『すべて彼女のために』を、『クラッシュ』『告発
のとき』のポール・ハギス監督がリメイク。スリリングなサスペンス・アクシ
ョンの基本を維持しつつも、ところどころにハギス監督らしさが発揮された作
品に仕上がっています。
妻子との幸福な生活が一転。突然、妻ララが殺人犯として逮捕された大学教授
のジョン。冤罪を訴えるものの、裁判で刑が確定。絶望のあまりララが自殺を
図ったのを見て、もはや脱獄しかないと考えたジョンは、周到な計画を練り上
げる……。
脱獄劇らしいスリリングさが魅力の映画。特に後半、ララを急病に仕立てて入
院させ、その隙に彼女を連れ去ったジョンが、警察の非常線が張られる中で必
死に逃亡するところは手に汗握る展開。警察側の動きもリアルに描かれ、両者
の虚々実々の駆け引きが続きます。
「夫婦と子供が乗った車を探せ」という警察の命令の裏をかいて、ジョンが一
般人を車に同乗させるシーンなども面白いところ。ジョンたちの逃亡先の国を
めぐるどんでん返しも、なかなか凝った仕掛けです。
その一方で、登場人物の心理描写に時間をかけているのがポール・ハギス監督
らしいところ。幸せな家庭生活から一転、妻が刑務所送りとなったジョンの失
意と絶望、最終手段に出ることを決意する心境が繊細に綴られます。妻のララ
や息子、ジョンの両親などの心の揺れも表現されています。最初は1つだったジ
ョンとララの心が、だんだん離れていくあたりの描写も的確。
脱獄を決意したジョンが、脱獄のプロ（リーアム・ニーソン）に相談する場面。
ジョンは「脱獄は大変なことだ。死人が出る。その覚悟はあるのか？」と聞か
れます。まさにその死人を出した分水嶺のシーンを冒頭に配置。彼がもう後戻
りできない世界に足を踏み入れたことを印象付けます。
やがてついに計画が実行に移された時、夫婦の間に大きな溝が生まれます。自
らの進む道が正しいと信じるジョン、それに対して懐疑的なララ。そんな２人
の姿を通して、正義というものの曖昧さを浮き彫りにしています。
それまで明らかにされなかった事件の真相（ララが犯人なのか冤罪なのか）を
微妙な形で提示したラストも、いかにもハギス監督らしいところ。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年9月23日（金・祝）池袋東急にて。午後4時10分の回
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