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トゥルー・グリット（TRUE GRIT）
（2010年 アメリカ）（上映時間1時間50分）
監督・脚本・編集：ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演：ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン、バ
リー・ペッパー、ヘイリー・スタインフェルド、ブルース・グリーン、デイキ
ン・マシューズ、ジャーラス・コンロイ、ポール・レイ、ドーナル・グリーソ
ン、エリザベス・マーヴェル、レオン・ラッサム
＊TOHOシネマズ 六本木ヒルズほかにて全国公開
ホームページ http://www.truegrit.jp/
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＜ストーリー＞
雇い人のトム・チェイニー（ジョシュ・ブローリン）に父親を殺された14歳の
少女マティ・ロス（ヘイリー・スタインフェルド）は、父の仇を討つために大
酒飲みのベテラン保安官ルースター・コグバーン（ジェフ・ブリッジス）に追
跡を依頼する。最初は相手にしないルースターだが、マティの執念に押し切ら
れてチェイニーが逃げ込んだインディアン領に向けて出発する。だが、彼を信
用しきれないマティは自分も同行する。一方、別の容疑でチェイニーを追って
いたテキサス・レンジャーのラビーフ（マット・デイモン）も彼らの旅に加わ
るのだが……。
＜レビュー＞
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コーエン兄弟による見応え十分の復讐劇と少女の成長物語
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『ファーゴ』『ノーカントリー』のコーエン兄弟による西部劇。1969年のジョ
ン・ウェイン主演の『勇気ある追跡』の原作にもなったチャールズ・ポーティ
スの同名小説の映画化です。復讐劇という枠組みの中にも、いろいろな要素を
詰め込んで、コーエン兄弟らしい巧みな語り口で仕上げています。
お話はわりとシンプル。父を殺された14歳の娘が、犯人に復讐するために酔い
どれ保安官を雇い、一緒に犯人を追いかけて旅をします。そこに、その犯人を
別の罪で追うテキサス・レンジャーも加わります……。
登場人物のキャラクターが秀逸。序盤でしたたかな商人相手に一歩も引かずタ
フな交渉をするマティ。その自立心と鼻っ柱の強さは半端ではありません。酔
いどれ保安官のルースター、義侠心にあふれるラビーフなども魅力的な人物像
です。
ルースターやラビーフと犯人探しの旅に出るマティ。そこに待ち受けているの
は、荒野の中での過酷な体験。大人びた表情とともに、14歳の女の子らしい優
しさや弱さも垣間見せる彼女は、そうした様々な体験を通して少しずつ成長し
ていきます。
死と隣り合わせの生活、敵との遭遇など、初めての体験の連続。それでも自ら
馬を操り、銃を撃ち、前に進んでいくマティ。このドラマは、西部劇であるの
と同時に父を亡くした少女の成長物語でもあるのです。
描き方はあくまでも正攻法。コーエン兄弟にしてはわかりやすい作品ですが、
いつものユーモアは健在。大量のセリフが飛び交うにも関わらず、それが
うるさく思えないのも演出の妙。リアルで細部までよく考えられた映像も見
ものです。
後半は怒涛の展開で面白さが加速。いかにも西部劇らしい激しいガンファイト、
蛇の穴からの脱出など見応え満点。
そして、ラストの後日談が余韻を残します。少女の成長物語の締めくくりにふ
さわしい後日談で、1つの時代の終わりも感じさせます。
相変わらず渋いジェフ・ブリッジス、それとは対照的なマット・デイモン、控
え目ながらいい味のジョシュ・ブローリンなど俳優陣も充実。しかし、今回最
も目立つのはやっぱりマティ役のヘイリー・スタインフェルドでしょう。とて
も映画初出演とは思えない堂々たる演技を披露しています。
シンプルな復讐劇ではあるものの、見どころはタップリ。西部劇が得意でない
人も、コーエン兄弟のファンでない人も、十分に楽しめそうな映画です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年3月18日（金）シネ・リーブル池袋にて。午前11時30分の回
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