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津軽百年食堂
（2011年 日本）（上映時間1時間46分）
監督：大森一樹
出演：藤森慎吾、中田敦彦、福田沙紀、ちすん、藤吉久美子、早織、前田倫良、
永岡佑、秋本博子、春日井静奈、大杉漣、かとうかず子、野村宏伸、手塚理美、
伊武雅刀
＊シネマート新宿、有楽町スバル座ほかにて公開。順次全国公開
ホームページ http://www.tsugaru100-movie.com/
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＜ストーリー＞
青森県・弘前で明治時代から続く大森食堂。４代目の陽一（藤森慎吾）は、東
京でバルーンアーティストをしながら暮らしていた。ある日、同郷の写真館の
娘でカメラマンの卵の七海（福田沙紀）と偶然知り合った陽一は、彼女とルー
ムシェア生活を始める。そんな中、実家の店を一人で切り盛りしていた父が交
通事故で入院してしまい、陽一は店を手伝うためやむを得ず一時帰郷するのだ
が……。
＜レビュー＞
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ベテラン監督の技が光る弘前の食堂をめぐるヒューマン・ドラマ
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青森の弘前で明治時代から続く食堂を舞台にしたヒューマン・ドラマです。
大森食堂の４代目の陽一は店を継ぐ気がなく、東京で大学卒業後は定職も持た
ず、バルーンアーティストとしてその日暮らし。ある日、偶然知り合った同郷
の写真館の娘でカメラマンの卵の七海と知り合い、ルームシェアすることに。
ところが、まもなく実家の食堂を切り盛りする父が交通事故にあったことから、
祖母の懇願により陽一が店を手伝うため帰郷する……。
新味のない話で先が読めてしまいます。都合よすぎの展開もけっこうあります。
おまけに、ネタがテンコ盛りです。現在の食堂の運命、陽一の新たな旅立ち、
陽一父子の心のふれあい、同郷の七海とのラブロマンス、七海の再出発、陽一
や七海の周囲の友人・知人のドラマ、そして明治時代に食堂を始めた男の創業
と恋のドラマなど。
こんなにいろんなネタを詰め込んだら、普通は窮屈になってしまうもの。しか
し、ベテラン大森一樹監督による手堅い構成と演出のおかげで、どのドラマも
素直に心に届いてきます。
大きな柱に据えているのは、明治時代の創業者の奮闘ぶりと恋の行方、そして
陽一や七海が故郷への思いを新たにするまで。この２つの物語をバランスよく
描いています。
ありがちな話の連続なのに、少しもわざとらしくなく、押し付けがましさもあ
りません。人の情けや人生の機微が自然に伝わってきます。その背景にある津
軽の温かな気質の土地柄も、心地よく胸に響いてきます。さすがにベテラン監
督らしい仕事ぶりです。
後半の山場は、「さくらまつり」への出店。百年前と今とを結びつける仕掛け
が効果的。鮮やかな桜の風景も印象に残ります。そして、さりげなく、心が温
まるエンディングへ。
主役を演じたのは"オリエンタルラジオ"の藤森慎吾、明治時代の創業者を演じ
たのはその相方の中田敦彦。あまり芸達者なイメージのなかった２人ですが、
意外な健闘ぶりです。その２人に加えベテランの伊武雅刀、若手の福田沙紀な
ど、キャストのバランスも絶妙でした。
ベテラン監督の巧みの技が光る映画で、安心して楽しめました。後味のよい心
の温まるドラマです。
ちなみに、この映画の青森県内のロケ地は、東日本大震災で被災したそうで、
収益の一部は寄付されるそうです。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2011年4月4日（月）シネマート新宿にて。午前11時30分の回
[「つ」のページ] |
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