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愛と誠
（2012年 日本）（上映時間2時間14分）
監督：三池崇史
出演：妻夫木聡、武井咲、斎藤工、大野いと、安藤サクラ、前田健、加藤清史
郎、一青窈、余貴美子、伊原剛志、市村正親
＊新宿バルト9ほかにて全国公開
ホームページ http://www.aiandmakoto.jp/
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＜ストーリー＞
1972年。早乙女財閥の令嬢・早乙女愛（武井咲）は、幼い頃に雪山で助けられ
た"白馬の騎士"太賀誠（妻夫木聡）と運命の再会を果たす。不良の誠を更生さ
せようと、両親に頼んで自分が通う名門青葉台学園に編入させる愛。だが、誠
はすぐに問題を起こして退学になり、不良のたまり場、花園実業へと転入する。
愛は誠を追って転校し、さらに愛への想いを貫く優等生・岩清水弘（斎藤工）
もそれに続くのだが……。
＜レビュー＞
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面白ければなんでもＯＫ。大暴走のミュージカル風純愛映画
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1970年代に人気だった梶原一騎原作のマンガを三池崇史監督が映画化しました。
原作はあまりにも時代錯誤的で大仰な純愛物語。当時でさえそうなのだから、
今の時代ならますます違和感ありまくりの作品になりかねません。
そんな中で、三池監督が使った手法がユニーク。70年代という時代設定はその
ままに、歌あり踊りあり笑いありの、コミカルなミュージカル仕立てのドラマ
にしてしまったのです。登場する楽曲の多くは当時を代表する懐メロ。
以前から「面白ければ何でもあり」の映画をたくさん撮ってきた三池監督だけ
に、こういう映画は得意技。実にナイスなアイデアです。
冒頭、アニメで主人公の愛と誠の出会いを描き、続いて11年後の新宿の大乱闘
劇を大げさ＆オバカに描写。妻夫木聡が「激しい恋」を熱唱。
続いて誠を更生させるために、親の力で（親を演じるのは市村正親＆一青窈）
自分の学校に編入させる愛。そして、愛に一途な想いを抱く優等生の岩清水。
驚いたのは、愛を究極の勘違い女として描いているところ。それはまるでス
トーカー。そんなところも含めて、物語全体を一歩引いて笑い飛ばしているの
が痛快です。ミニスカダンスだの、金粉ショーだの、まさに何でもありの三池
ワールド。
中盤からは舞台は悪の巣窟のような高校に移ります。そこからは昔の東映（だ
っけ？）の不良学園モノの映画のような雰囲気が色濃くなります。常識を越え
た不良たちと誠との乱闘シーンがテンコ盛り。
オッサン顔の不良高校生（伊原剛志が突然サルカニ合戦の話を……）、スケバ
ンのガムコ（安藤サクラ）、謎の悲しい女（大野いと）など、ぶっ飛んだキャ
ラも次々に登場します。
誠の後を追って転校した愛の勘違いぶりはますますエスカレート。それに伴っ
て風雲急を告げる愛と誠の身辺。いよいよ最後の大決戦へ！！！
後半も歌と踊りがタップリ。「夢は夜ひらく」「オオカミ少年ケンのテーマ」
「酒と泪と男と女」「また逢う日まで」などなど。俳優たちの歌は正直それほ
ど上手くないし、パパイヤ鈴木振り付けの踊りもダサダサ。しかし、それが妙
な味になっているから笑えます。
最後は誠の母子の絆を描き、いかにも70年代的な破滅的展開に突入。そして、
再びアニメで愛の強さを歌い上げてエンディング。きっちりとドラマを締めて
くれました。
もしも梶原一騎が生きていて、この映画を観たら大激怒したかも……。
な〜んて思わせるようなやりたい放題の大暴走映画です。昔、原作にマジに入
れ込んでいた人から見れば、とんでもない映画かもしれませんが、私のように
一歩引いて読んだ人間にとっては、けっこう楽しい映画でした。「君のためな
ら死ねる！」なんて、どう考えても笑っちゃうしかないもん。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年6月20日（水）角川シネマ有楽町にて。午後1時20分の回
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