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アニマル・キングダム（ANIMAL KINGDOM）
（2010年 オーストラリア）（上映時間1時間53分）
監督・脚本：デヴィッド・ミショッド
出演：ジェームズ・フレッシュヴィル、ベン・メンデルソーン、ジョエル・エ
ドガートン、ガイ・ピアース、ルーク・フォード、ジャッキー・ウィーヴァー、
サリヴァン・ステイプルトン
＊ＴＯＨＯシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほかにて公開
ホームページ http://www.ak-movie.com/
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＜ストーリー＞
オーストラリア・メルボルン。薬物の過剰摂取による突然死で母親を失った17
歳の高校生ジョシュア（ジェームズ・フレッシュヴィル）は、母が遠ざけてい
た実家の祖母ジャニーン（ジャッキー・ウィーヴァー）に連絡を取り、彼女の
家で暮らすことになる。だが、ジャニーンと３人の息子たちは、強盗や麻薬で
生計を立てる犯罪一家だった。次第に一家の稼業に巻き込まれていくジョシュ
ア。そんな時、ある事件が起き、警察は彼から証言を引き出そうとするのだが
……。
＜レビュー＞
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犯罪一家に翻弄される青年の苦悩を破格の緊張感で描く
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オーストラリアを舞台にした異色の犯罪ドラマ。主人公の青年の苦悩を描く青
春ドラマ的な要素もあります。
母親が薬物の過剰摂取で急死した17歳の青年ジョシュア。仕方なく疎遠だった
祖母に連絡を取り、彼女の家で暮らすことになる。だが、祖母とその息子たち
は強盗や麻薬売買で生計を立てる犯罪一家だった……。
何よりも特徴的なのが、最初から最後までスクリーンを包む重苦しい緊張感で
す。一見、普通の暮らしの中に潜む犯罪一家の暴力。その中に身を置くことに
なり、自分の意思と関係なく犯罪に巻き込まれていくジョシュアの苦しみが、
そのまま観客席に伝わってくるようです。
一家が華々しく犯罪を行うのではなく、警察に追い詰められて破滅への道をた
どり始めているという設定も、ますます緊張感を高めています。
本作が長編デビューのデビッド・ミショッド監督は、ジョシュアと一家の様子
を、大げさにあおりたてることなく乾いた映像でリアルに描き出します。実話
をベースにした話とのことですが、それにしてもリアリティーがあります。や
や唐突な出来事もあったりしますが、不自然さをまったく感じさせません。派
手になりそうな場面も、あえてそうしない演出が印象的。
ドラマの転機は、一家が起こしたある事件。真相究明のキーパーソンであるジ
ョシュアに対して、警察は証言を求めます。それを阻止しようとする一家の
人々。
後半に進むにつれて、どんどん追い詰められていくジョシュア。それとともに
緊迫感がさらに高まっていきます。単純に警察ＶＳ一家の戦いという構図では
なく、一家の内部対立や警察内の密告者の存在なども効果的に使われています。
終盤、身の危険を感じたジョシュアが警察に駆け込むところは、やや拍子抜け
の展開。ところが、その後にさらに二転三転する驚きの展開。そして、ラスト
にジョシュアが選んだ選択はあまりにも衝撃的で実に切ない結末です。
暖かさや優しさ、冷酷さやふてぶてしさを同時に表現した祖母役のジャッ
キー・ウィーヴァーの演技が見事。アカデミー助演女優賞にノミネートも納得
です。刑事役のガイ・ピアースも存在感タップリ。ジョシュアを演じたジェー
ムズ・フレッシュヴィルの静かな苦悩も印象的です。
クエンティン・タランティーノが2010年のベスト３に選んだそうですが、そこ
まではいかなくても、かなり面白い映画なのは間違いありません。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年2月9日（木）新宿武蔵野館にて。午後1時15分の回
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