青い塩

青い塩（BLUE SALT）

（2011年　韓国）（上映時間2時間2分）
監督・脚本：イ・ヒョンスン
出演：ソン・ガンホ、シン・セギョン、チョン・ジョンミョン、イ・ジョンヒ
ョク、キム・ミンジュン、ユン・ヨジョン、キム・レハ、オ・ダルス
＊丸の内TOEIほかにて全国公開
ホームページ　http://www.aoi-shio.com/
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＜ストーリー＞
ソウルの闇組織のボスだったドゥホン（ソン・ガンホ）は、ヤクザの世界から
足を洗い、母の故郷プサンで暮らし始める。ある日、彼は通い始めた料理教室
でセビン（シン・セギョン）という少女と出会う。元射撃選手の彼女は、ある
理由から今は裏社会の便利屋として働き、組織の指示でドゥホンの動向を探っ
ていたのだった。温かなドゥホンの人柄に惹かれるセビンだが、やがてドゥホ
ン暗殺の指令を受けてしまう……。

＜レビュー＞
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元ヤクザの中年男と彼を狙う少女との切ない愛
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ハリウッドでリメイクされた『イルマーレ』のイ・ヒョンスン監督の11年ぶり
の新作。

元ギャングのボスで今は足を洗ったドゥホンという中年男が、通い始めた料理
教室でセビンという少女と出会う。だが、彼女は闇組織の依頼で男を監視して
いた。そして、やがてセビンはドゥホンを暗殺するように指示される……。

ヤクザ稼業から足を洗い、レストランを持つことを夢見て料理教室に通うドゥ
ホン。元射撃の有望選手ながら、のっぴきならない事情で闇社会と関わり、つ
いにはドゥホンの暗殺指令を受けてしまうセビン。年の離れた２人の切ない愛
がドラマの中心です。

お互いに影を背負いながら、徐々に心を通わせていくあたりの描写が巧み。料
理に関するエピソードなども使いながら、友達とも、恋人ともいえない微妙な
関係性をすくい取っていきます。

後半になって、セビンが暗殺に向かうとともに、ドゥホンもそれに薄々気づく
ところの両者の心理のあやもよく出ています。

プサンの海辺の風景やソウルの夜景、クライマックスの青い塩田など映像も魅
力的。

ただ残念なのは、全体に間延びしていること。特に気になるのはセビンに暗殺
指令が出てから後の展開。暗殺指令の背景にあるヤクザの内紛や抗争をはじめ、
様々な要素が盛り込まれて、その分、ドゥホンとセビンの愛のドラマの線が細
くなってしまいます。そのあたりをもう少しシンプルにしたら、もっと良い映
画になったと思うのですが。

それでも後半、クライマックスに向かう緊迫感はなかなかのもの。アクション
なども織り交ぜながら、ドゥホンとセビンのギリギリの場面での切ない愛を描
きます。そして、クライマックスからエンディングの後日談へ。ありがちな展
開ではありますが、個人的には納得できる結末です。

ドゥホンを演じたソン・ガンホ（『殺人の追憶』『グエムル　漢江の怪物』な
ど）は、さすがに実力者らしい演技で、今回も存在感バツグン。セビンに好意
を持って、まるでティーンエイジャーのような初々しさを見せるあたりも面白
いところ。

そして、セビンを演じたシン・セギョンのオヤジ殺しぶりがスゴイ！！！　ぶ
っきらぼうで影を感じさせる普段の表情と、たまに見せる笑顔やはじけた表情
の対比が絶品。ついでに男物のワイシャツ一枚のサービスカットもあり。ドゥ
ホンならずとも虜になっちゃいそう。

脚本を中心に不満はあるものの、美しい映像とソン・ガンホの演技、さらにシ
ン・セギョンという新星に出会えただけで、十分に元は取れたかなという感じ
です。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（田中ひろあき（ぽち））

〔鑑賞データ〕
2012年3月17日（土）新宿武蔵野館にて。午後1時の回

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