アーティスト(THE ARTIST)


(2011年 フランス)(上映時間1時間41分)
監督・脚本:ミシェル・アザナヴィシウス
出演:ジャン・デュジャルダン、ベレニス・ベジョ、ジョン・グッドマン、ジ
ェームズ・クロムウェル、ペネロープ・アン・ミラー、マルコム・マクダウェ
ル、ミッシー・パイル、ベス・グラント、エド・ローター、ジョエル・マーレ
イ、ケン・ダビティアン
*シネスイッチ銀座、新宿ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://artist.gaga.ne.jp/
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<ストーリー>
1927年のハリウッド。サイレント映画のスター俳優ジョージ・ヴァレンティン
(ジャン・デュジャルダン)は、若い女優の卵ペピー・ミラー(ベレニス・ベ
ジョ)と知り合い、自身の主演作でエキストラを務める彼女にアドバイスをお
くる。折しも時代はトーキー映画への移行期だったが、ジョージは芸術家を自
称してサイレント映画にこだわり、あっという間に忘れ去られる。それに対し
て、スターの階段を駆け上っていくペピーだったが……。

<レビュー>
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ハリウッド黄金期へのリスペクトが詰まった白黒・サイレント映画
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フランス映画でありながら、2012年のアカデミー賞作品賞に加え、監督賞、主
演男優賞ほか5部門を受賞した白黒のサイレント映画です。

サイレント映画の大スターのジョージが、女優志望の女の子ペピーと知り合う。
折しも時代はトーキー映画への移行期。サイレント映画にこだわったジョージ
はあっという間に人気を失い、一方ペピーはトーキー映画のスターになる。落
ちぶれたジョージに対して、ペピーは手を差し伸べるのだが……。

オープニングはサイレント映画の上映風景。大スクリーン、オーケストラの演
奏、満員の観客。このシーンを見れば、この映画が単なるラブストーリーでは
なく、サイレント映画を中心とした黄金期のハリウッドに対するリスペクト映
画であることがよくわかります。

ハリウッドの名作の描写をたくさん引用しているのはその表れ。懐かしい当時
の撮影所風景なども描かれています。

ただ昔を再現するだけでなく、旧さを感じさせない工夫をしているのも特徴。
全編最低限の字幕と音楽を中心に展開しながら、途中で音のあるシーンも登場。
未見の方のために、どんな使い方をしているかは伏せますが、実に効果的に使
われています。

ラブストーリー自体はありふれたもの。しかし、細部までこだわった作りで飽
きさせません。映像もただの白黒ではなく、相当緻密に構築されている感じで
す。

クライマックスの急展開から、最後の微笑ましいエンディングへと持ち込むあ
たりの組み立て方も、なかなかよく考えられています。

アザナヴィシウス監督の徹底したこだわりと工夫が感じられる、本当に良く出
来た映画です。あまりにも良く出来すぎていて、ちょっと引いてしまうぐらい
……。アメリカの観客の琴線に触れる要素も満載で、アカデミー賞を受賞した
のも納得。

主演のジョージ役のジャン・デュジャルダン、ペピー役のベレニス・ベジョの
2人のフランスの役者に加え、脇役に配したジョン・グッドマン、ジェーム
ズ・クロムウェルという渋い実力派のアメリカ人俳優の存在感も際立ちます。
ちなみに、ベレニス・ベジョは、ミシェル・アザナヴィシウス監督の奥さんだ
そうです。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
                             (田中ひろあき(ぽち))

〔鑑賞データ〕
2012年4月9日(月)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後3時の回


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