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僕達急行 Ａ列車で行こう
（2011年 日本）（上映時間1時間57分）
監督・脚本：森田芳光
出演：松山ケンイチ、瑛太、貫地谷しほり、村川絵梨、ピエール瀧、星野知子、
伊東ゆかり、笹野高史、伊武雅刀、西岡徳馬、松坂慶子、菅原大吉、三上市朗、
松平千里
＊丸の内TOEIほかにて全国公開
ホームページ http://www.boku9.jp/
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＜ストーリー＞
大手不動産会社の社員の小町圭（松山ケンイチ）と、小さな町工場の二代目・
小玉健太（瑛太）は無類の鉄道好き。ふとしたきっかけで知り合った２人は、
すぐに仲良くなり、友情を育んで行く。まもなく、小町は九州支社に転勤にな
り、交渉が難航していた地元企業の社長が偶然にも鉄道ファンだったことから、
小玉も含めて意気投合するのだが……。
＜レビュー＞
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森田芳光監督の遺作は鉄オタ２人の温かな友情コメディ
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2011年12月に急逝した森田芳光監督の遺作。２人の鉄道オタクの友情を、うま
くいかない恋の行方なども絡めながら、温かな視線で描いたコメディです。
主人公は大手不動産会社の社員の小町と、町工場の二代目の小玉。どちらも鉄
道オタクの２人は、ふとしたことで知り合いたちまち意気投合します。まもな
く小町は九州に転勤になり、難航する案件に関わります。その交渉相手の社長
が同じく鉄道オタクだったことから、小玉とともにプロジェクトを進めます。
というわけで、鉄道オタクの友情物語といっても、背景として設定されている
のはビジネス社会。そういう意味で、『釣りバカ日誌』的なサラリーマンもの
の映画の要素もあります。
コメディらしく全編に笑いが満載。最も特徴的なのは独特の間を生かしたオフ
ビートな笑い。イマイチ噛み合わない会話も不思議なおかしさを生み出します。
まるでコントのような正統派の笑いもあって、笑いの幅はかなり広い感じ。
遊び心もタップリです。中でも、伊東ゆかりの登場シーンで、バックにヒット
曲「小指の思い出」を流し、彼女に小指を噛ませるシーンには大爆笑（とはい
え、若い人には理解できないですよね）。
鉄道ネタも当然ながらたくさんあるものの、別に知らなくても問題はありませ
ん。
しかも、ただ面白いだけでなく、いまどきの若者の特徴的な姿も見えてきます。
自分の世界にこもって、他人の世界に踏み込むことを嫌い、感情をあまり表に
出さない小町と小玉。２人が列車の中で向かい合うシーンが出色。それでも何
とか人とつながろうとしているところを描いて、若者たちに温かな目を向けて
いるのが、いかにも森田監督らしいところです。
小町が彼女にふられる場面や、取引先の社長が鉄道オタクだったという展開な
ど、よくある定番パターンだったり、都合よすぎるところもたくさんあります。
しかし、それを許せてしまう独特の世界が構築されています。
それは古き良き日本を想起させるような、ほのぼのとした心地よい世界でもあ
ります。２人の若者に加え、彼らを取り巻く人々の姿からも、それが明確に伝
わってきます。クスクスと笑って、観終わって温かな気持ちになれること請け
合いの映画です。
シリアスなものからコメディまで、実に幅広い作品を送り出してきた森田監督
ですが、奇しくもこれが遺作となって、こういうコメディこそが彼の真骨頂だ
ったような気がします。
もはや新作は望めなくなりましたが、できればこの映画、シリーズ化して欲し
いところ。おそらく森田監督も、そのあたりを意識してこの映画を作ったので
は？
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（ぽち）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年3月28日（水）池袋シネマサンシャインにて。午後3時40分の回
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