|
ＢＵＮＧＯ〜ささやかな欲望〜 告白する紳士たち
（2012年 日本）（上映時間 1時間48分）
監督：関根光才（「鮨」）／山下敦弘（「握った手」）／谷口正晃（「幸福の
彼方」）
出演：橋本愛、リリー・フランキー、市川実日子（「鮨」）／山田孝之、成海
璃子、黒木華（「握った手」）／波瑠、三浦貴大、でんでん（「幸福の彼
方」）
＊角川シネマ有楽町ほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://bungo-movie.jp/
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
＜ストーリー＞
・「鮨」（原作：岡本かの子）
〜鮨屋の看板娘のともよ（橋本愛）は、常連客の中年紳士・湊（リリー・フラ
ンキー）に好意を持っている。ある日、買い物の途中でともよは湊と偶然会う。
湊は、亡き母との鮨にまつわる切なくも美しい思い出を語りだす……。
・「握った手」（原作：坂口安吾）
〜大学生の松夫（山田孝之）は、映画館で衝動的にＯＬの綾子の手を握り、握
り返されたことから彼女と付き合い始める。だが、綾子は誰に対してもそうし
たのではないかという思いにとらわれ、不安になった松夫は、心理学にはまる
女学生の水木由子（成海璃子）の手をいきなり握るのだが……。
・「幸福の彼方」（原作：林芙美子）
〜戦争で片目を失った青年・信一（三浦貴大）と見合いした絹子（波瑠）は、
彼を気に入り結婚する。幸せな結婚生活を送る2人。だが、ある日、信一は「自
分には子供がいる」と告白する。衝撃を受ける絹子。彼女の提案で2人はその子
供に会いに行くが、途中で子連れの家族と遭遇して……。
＜レビュー＞
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
昭和の「文豪」の短編が原作のオムニバス。人生の機微が伝わる
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
昭和の文豪と呼ばれた6人の作家の短編が原作のオムニバス映画。『見つめられ
る淑女たち』編の姉妹編です。
以下、『告白する紳士たち』の3作品の感想です。
・「鮨」
〜岡本かの子（岡本太郎のお母さん）の原作。人生の機微を感じさせる味のあ
る物語です。鮨屋の娘が好意を持つ中年男から、鮨にまつわる亡き母親との思
い出を聞くというだけの話ですが、その思い出が何とも切なく美しい。ウェッ
トに描かず淡々と描いているのが魅力。しみじみと感動できます。リリー・フ
ランキーが絶品です。
・「握った手」
〜坂口安吾の原作を山下敦弘監督が映画化。て、坂口＆山下ってハマリすぎな
んですけど（笑）。ダメダメな感じの主人公が、せっかく女の子と仲良くなっ
たのに、不安がどんどん膨らんで、別の女の子に対して突拍子もない行動に出
るというお話。主人公の手が獣の手になってしまうという、彼の心象風景を描
写したところがユニーク。ユーモラスでちょっとほろ苦い青春ストーリーにな
っています。
・「幸福の彼方」（原作：林芙美子）
〜林芙美子らしい感動の夫婦愛のドラマ。ほのぼのとしたお話です。見合い結
婚した男には実は子供がいて……という展開ですが、同時に女のほうにもツラ
イ過去があって、それがクロスするところがミソ。ユーモラスなところとシリ
アスなところのバランスがとてもよい。『時をかける少女』『月曜日のルカ』
の谷口正晃監督らしい映画。ラストで夫婦が、直前に目撃した親子連れの真似
をするシーンが印象的。
＜結論＞『見つめられる淑女たち』同様、3作品ともそれなりに楽しめます。人
生の機微が伝わってくる作品が多く、個人的にはこちらのほうが好きかな。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（80点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年9月11日（火）角川映画試写室にて
[「ふ」のページ] [「アルファベット」のページ] |
|