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外事警察 その男に騙されるな
（2012年 日本）（上映時間2時間8分）
監督：堀切園健太郎
出演：渡部篤郎、キム・ガンウ、真木よう子、尾野真千子、田中泯、イム・ヒ
ョンジュン、 北見敏之、滝藤賢一、渋川清彦、山本浩司、豊嶋花、イ・ギョン
ヨン、キム・ウンス、パク・ウォンサン、遠藤憲一、余貴美子、石橋凌
＊丸の内ＴＯＥＩほかにて全国公開
ホームページ http://www.gaiji-movie.jp/
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＜ストーリー＞
2011年。震災の混乱が続く中、原子力関連の極秘データが盗まれる。一方、朝
鮮半島からは濃縮ウランが流出する。住本健司（渡部篤郎）たち外事警察は、
核兵器製造を阻止するべく活動を開始。日本人女性と結婚して日本国籍を取得
した貿易会社社長の奥田に狙いをつける。そこで住本は奥田の妻・果織（真木
よう子）に近づき、彼女の弱みを突いて協力者に引き込むのだが……。
＜レビュー＞
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善悪を超えた「公安の魔物」をリアルかつスピーディーに描く
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国際テロ防止を任務とする、外事警察の活躍を描いたＮＨＫのテレビドラマの
映画版。実在の組織をネタに、リアルなドラマを構築したテレビ版と同じタッ
チの映画です。爆破シーンや銃撃シーンなどはあるものの、とりたてて映画的
な工夫があるわけではなく、テレビドラマの良さをそのまま生かそうとしてい
る感じです。
主人公は「公安の魔物」と呼ばれる捜査官の住田。「その男に騙されるな」と
いうサブタイトルに象徴されるように、人を騙すなんて朝飯前。情に訴えたり、
大芝居を打つなど、脱法行為もいとわないあの手この手で、協力者を取り込む
男です。
朝鮮半島から濃縮ウランが、そして日本から原子力の極秘データが盗まれ、核
兵器製造の危機が高まったことから、住田がリーダーとなって捜査活動が展開
されます。そこに絡むのは日本と韓国の諜報機関。さらに、在日二世の科学者
や貿易会社社長の妻などが関わって、スリリングでスピーディーなドラマが展
開されます。
わかりやすさを求めがちな日本映画の中で、単純な善悪を超えた主人公の行動
を描く視点は新鮮。安易な感情移入を拒否しつつ、登場人物の行動や心理をリ
アルに見せていきます。貿易会社の妻の哀しい過去なども盛り込んで、複雑な
話を手際よくさばいた脚本もなかなかのもの。アメリカでヒットしたドラマ「2
4」を思わせる面白さで、最後まで目が離せません。
とはいえ冷静になってみれば、この「魔物」住田。上司に逆らって勝手な暴走
をしたあげく、何度もそれが失敗に終わる情けなさ。こんな人物が、なぜ上層
部から頼りにされる？な〜んて思ったのは私だけでしょうか（笑）。
それはともかく、ドラマは後半になってさらに盛り上がります。日本と韓国を
行き来して、核爆弾をめぐるギリギリの攻防戦が展開。あわや！のスリルが味
わえます。
そして、そこに絡む親子の情愛。ウソかマコトか、紙一重の心理戦。さらに、
ラストにさりげなく示される意味深な行動。え？ それってもしかして……。
注意していても見逃してしまいそうなトリックです。このあたりもこのドラマ
の魅力なのかも。
テレビ版をあまり見ていなかった私には、ややついていけないところはあった
ものの、日本で稀有なドラマなのは間違いなし。こういうアブナいネタに挑ん
だ意欲には素直に拍手。
役者では、主演の渡部篤郎に加え、在日二世の科学者役の田中泯、協力者にさ
れる妻役の真木よう子の存在感が出色でした。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年6月3日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時の回
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