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ヘルプ 心がつなぐストーリー（THE HELP）
（2011年 アメリカ）（上映時間2時間26分）
監督・脚本：テイト・テイラー
出演：エマ・ストーン、ヴィオラ・デイヴィス、オクタヴィア・スペンサー、
ブライス・ダラス・ハワード、ジェシカ・チャステイン、アリソン・ジャネイ、
シシー・スペイセク、 シシリー・タイソン、メアリー・スティーンバージェン
＊TOHOシネマズシャンテほかにて全国公開
ホームページ http://disney-studio.jp/movies/help/
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＜ストーリー＞
アメリカ南部のミシシッピ州ジャクソン。上流階級に生まれ、黒人メイドに育
てられた作家志望の白人女性スキーター（エマ・ストーン）。大学卒業後、地
元の新聞社で家事に関するコラムの代筆を担当することになった彼女は、友人
宅のベテラン黒人メイド、エイビリーン（ヴィオラ・デイヴィス）に相談。そ
れをきっかけに、メイドたちが置かれた立場に疑問を感じ、その証言を集めて
本にしようと思い立つ。当初は頑なに口を閉ざしていたメイドたちだが、やが
てエイビリーンがインタビューに応じる……。
＜レビュー＞
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楽しいエンタメ物語から浮かび上がる人種差別という社会問題
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1960年代。人種差別の激しかったアメリカ南部の町を舞台にした物語。深刻な
社会問題を扱いつつ、それを真正面から描くのではなく、楽しいエンタメ映画
として描いた作品です。
主人公は作家志望の白人女性スキーター。大学卒業後、地元の新聞社に勤務す
ることになった彼女は、取材で黒人メイドに話を聞くうちに、彼女たちの立場
に疑問を感じる。そこで、彼女たちの証言を本にまとめようとするのだが……。
人種差別は当然ながらこの映画の最大のテーマ。ただし、それだけでなく「女
性は家庭にいるのが当たり前」というような、保守的な風土全体を物語の入口
にしています。それによって、誰の胸にも響く普遍的な作品になっています。
特に印象的なのが、メイドたちを雇う白人女性が、自分たちはさも進歩的であ
るかのように振る舞う姿。それでもトイレを別にしようとするなど、端々で差
別的行動を取ります。そこから差別の根深さがヒシヒシと伝わってきます。。
実は予告編を見た印象では小品という感じで、2時間半近い上映時間は長いと思
ったのですが、実際はそんなことはありませんでした。テンポの良い描写で、
笑いどころもタップリ。
しかも、登場するのはどれも存在感のある人物ばかり。エマ・ストーン演じる
主人公のスキーターに加え、ヴィオラ・デイヴィスやオクタヴィア・スペン
サーが演じる黒人メイド、彼女たちを雇う白人女性など、いずれも個性派の
面々。ジェスカ・チャスティン演じる天然ボケの女性も魅力的だし、ベテラン
のオスカー女優シシー・スペイセクの味のある演技も見もの。
こうしたユニークな人々が様々なドラマをつむぎ出します。主人公スキーター
の自立へのドラマ、女たちの友情物語、スキーターと母親との確執と和解など、
いずれもよくできたドラマです。
それらを通して、クッキリと浮かび上がる差別という社会問題。その結末はエ
ンタメ映画らしい温かなものでありながら、同時に現実の厳しさを見せつけま
す。この物語が変化への始まりに過ぎないことを明確にすることで、人種差別
に限らず様々な差別や偏見も視野に入れた、現在に通じる問題提起となってい
ます。
とはいえ、それらはごく自然に伝わってくるもの。堅苦しさは何もなし。明る
く楽しく温かな感動に浸れる映画です。アメリカの良心を感じさせる作品です
ね。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年4月10日（火）ヒューマントラストシネマ渋谷にて。午後4時の回
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