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I'M FLASH!
●『I'M FLASH!』
（2012年 日本）（上映時間1時間31分）
監督・脚本：豊田利晃
出演：藤原竜也、松田龍平、水原希子、仲野茂、永山絢斗、板尾創路、原田麻
由、北村有起哉、柄本佑、中村達也、大楠道代
＊テアトル新宿、ユーロスペースほかにて全国公開
ホームページ www.imflash-movie.com/
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＜ストーリー＞
新興宗教の若き三代目教祖、吉野ルイ（藤原竜也）は、ある日、流美（水原希
子）という謎めいた美女とドライブ中に事故に遭う。ルイは軽傷だったが、流
美は意識不明の重体になってしまう。ルイは３人のボディガードとともに南の
島に身を隠すが、まもなく教団の意志に反して教祖を辞めると宣言する。それ
に対して、教団幹部のルイの母は部下にある指示を出す……。
＜レビュー＞
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豊田監督の死生観が漂うユニークな犯罪映画
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『青い春』『ナイン・ソウルズ』『空中庭園』『蘇りの血』などの豊田利晃監
督の新作。
この映画のラストに流れるのは、チバユウスケや中村達也らによるバンドのエ
ッジの効いたロック。なんだか、そのPVのような雰囲気の映画でした。
冒頭、新興宗教の若き教祖のルイが自動車事故を起こします。同乗していたの
は謎の女。その事故でバイクの高校生を死なせ、女を昏睡状態にさせたルイは、
南の島に身を隠します。
そんなルイを守るために雇われる3人のボディガード。しかし、ルイが突然教祖
を辞めるといったため、教団幹部の母親は息子の暗殺を指示します。
この映画で最も印象的だったのは、センスにあふれた映像。オープニングの海
の中の映像から、見事な映像の連続でした。
ドラマ的には、よくある犯罪アクション。ただし、事故を起こした後に、教団
に嫌気がさしたルイの運命をめぐる現在進行形のドラマの合間に、冒頭の事故
のシーンが細切れに挟まれて、そこで何があったのかという謎を深めていきま
す。あちこちに登場するドクロも不気味な雰囲気を煽り立てます。
そして、この映画の大きな特徴は、豊田監督自身のものと思われる死生観が全
編に散りばめられているところ。ルイのセリフや独白を中心にして語られるそ
の死生観は、なかなか奥深く、興味を引かれるものでした。
とはいえ、それがドラマの本筋とうまくリンクしているとは思えないのが残念
なところ。なんだかそこだけ浮いていて、胸に強く響いてこない気がしたので
すが……。それって私だけ？
全体に登場人物の掘り下げ方が甘いのも気になりました。
それでもラストで冒頭の事故と、リアルタイムのルイの運命をリンクさせるあ
たりは、なかなかの盛り上がりで面白かったです。
面白いといえば、笑っちゃうぐらいにデフォルメさせた、教祖家族の描写も面
白かったです。相変わらずの貫禄の大楠道代に加え、原田麻由や北村有起哉の
怪演が見もの。
＜結論＞個人的には物足りなさもありましたが、豊田監督の作品のファンには
満足できる映画かもしれません。監督らしさは発揮されているようなので。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
（67点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年9月1日（土）テアトル新宿にて。午後4時45分の回
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