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マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙（THE IRON LADY）
（2011年 イギリス）（上映時間1時間45分）
監督：フィリダ・ロイド
出演：メリル・ストリープ、ハリー・ロイド、ジム・ブロードベント、アンソ
ニー・ヘッド、リチャード・E・グラント、ロジャー・アラム、スーザン・ブラ
ウン、オリビア・コールマン、ニック・ダニング、ジュリアン・ワダム、アレ
クサンドラ・ローチ、マイケル・ペニントン、デビッド・ウェストヘッド、リ
チャード・ディクソン、ヒュー・ロス
＊TOHOシネマズ日劇ほかにて全国公開
ホームページ http://ironlady.gaga.ne.jp/
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＜ストーリー＞
86歳になったイギリスの元首相マーガレット・サッチャー（メリル・ストリー
プ）は、自らの人生を振り返る。父の影響で政治家を志すようになった彼女は、
やがて下院議員選挙に立候補するが落選。実業家のデニスと結婚し子供にも恵
まれるが、政治への意欲を失わず、ついに下院議員への当選を果たす。男中心
の政界で着々と地位を高めた彼女は、50歳で保守党党首に選出され、79年には
イギリス初の女性首相となるのだが……。
＜レビュー＞
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メリル・ストリープのなりきりぶりが見事なサッチャーの伝記映画
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「鉄の女」と呼ばれた英国初の女性首相マーガレット・サッチャーの伝記映画。
監督は、『マンマ・ミーア！』のフィリダ・ロイド。
最近の伝記映画は、作り手の意図が前面に出たテーマ性の強い作品が多いのが
特徴。しかし、この映画はどちらかというと、オーソドックスな伝記映画です。
中産階級出身のマーガレット・サッチャーが、父の影響で政治家を志すように
なり、数々の苦難を乗り越えて首相として活躍する姿を描きます。
そこには、野望や野心に満ちたサッチャーの成りあがりの物語、「鉄の女」ぶ
りを発揮した彼女の政治思想や政策、妻や母としての彼女の葛藤のドラマ、男
性上位のドロドロした政界の内幕劇など、様々な要素が散りばめられています。
それらがどれもバランスよく配置されているものの、明確な軸足はありません。
どれも総花的な取り上げ方でツッコミ不足。普遍性や深みはあまり感じられま
せん。
ただし、だからといってつまらないわけではありません。伝記映画としてはな
かなかの出来。最後まで飽きずに観られます。
特に面白いのが、晩年のサッチヤーの視点からドラマを組み立てたこと。亡き
夫の幻影を見たり、彼と会話を交わすなどかなりヨレヨレになった彼女を中心
に描き、その中の回想という形で一代記を描くスタイルが、ドラマに奥行きを
生み出しています。
『マンマ・ミーア』の監督の作品らしく、まるでミュージカルのようなテンポ
の良い演出も効果的です。少女時代や議員に当選する前後のサッチャーのエピ
ソードなどは、ほんの少ししか登場しませんが、ツボをしっかり押さえた描き
方なので不自然さはありません。
そして何よりも、サッチャーを演じたメリル・ストリープの熱演（というより
怪演？）が見事。ややもすれば過剰になりがちな彼女の演技ですが、この映画
にはそれがピッタリ。まるでマジックのようなメイクの力もあって、すっかり
サッチャーになりきっています。オスカー主演女優賞も納得の演技。
というわけで、この映画は作品自体の出来をうんぬんするよりも、メリル・ス
トリープの演技を堪能する映画だと思います。メリル・ストリープによるメリ
ル・ストリープのための映画という感じ。
彼女に比べて影は薄いけれど、夫役のジム・ブロードベントの重みのある演技
も見ものです。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年3月16日（金）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後12時の回
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