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人生の特等席（TROUBLE WITH THE CURVE）
（2012年 アメリカ）（上映時間1時間51分）
監督：ロバート・ロレンツ
出演：クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス、ジャスティン・ティ
ンバーレイク、ジョン・グッドマン、ロバート・パトリック、マシュー・リ
ラード、ジョー・マッシンギル
＊丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://wwws.warnerbros.co.jp/troublewiththecurve/
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＜ストーリー＞
多くの名選手を発掘してきたメジャーリーグのスカウト、ガス・ロベル（クリ
ント・イーストウッド）。だが、年齢による視力の衰えを隠せず、引退の危機
に直面する。そんな中、ドラフトの目玉選手のスカウトの旅に出るガスのもと
に、長年離れて暮らしていたひとり娘のミッキー（エイミー・アダムス）がサ
ポートにやってくる……。
＜レビュー＞
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イーストウッドの抜群の存在感が光る老スカウトと娘の絆
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『グラン・トリノ』で俳優を引退したはずのクリント・イーストウッド。しか
し、この映画で4年ぶりにカムバック。それもそのはず、この映画は長年イース
トウッド作品に製作や助監督として関わってきたロバート・ロレンツの長編監
督デビュー作品。そんな絆の温かさが全編に流れているような映画です。
メジャーリーグの老スカウトのガスは、数々の名選手を発掘してきたものの、
パソコンを使ったデータ分析が主流となる中で、次第に時代遅れの存在に。お
まけに視力を悪くして引退の危機。そんな中、ひとり娘で弁護士のミッキーが、
ガスのスカウトの旅をサポートしに来ます。しかし、長い間離れて暮らしてい
た父と娘の間はギクシャクして……。
頑固一徹で常に減らず口をたたくガスは、まさにイーストウッドのはまり役。
その圧倒的な存在感が、様々なことを物語ります。年輪としか言いようのない
深みのある演技が、観客の心をわしづかみにします。
それに対するのがエイミー・アダムス演じる弁護士の娘。母親の死後6歳で親類
に預けられた彼女は、父親に対して強いわだかまりを持っています。
そんな２人の確執がドラマの原動力。ある有力選手の調査をめぐって対立しつ
つも協力する２人。その中で、全く相反する存在に思えた父と娘が、野球によ
って深く結びついていたことが明らかになります。
やがて隠されていた真実が明らかになり、さらに父に代わって娘が意外な働き
をします。ここに至って、父と娘は再び強く結びつき、ドラマは大団円を迎え
ます。
正直なところ、この結末はあまりにもデキすぎたもの。全体を通して見ても、
ありがちな展開が多く（娘と元野球選手のラブロマンスなども）、脚本や演出
に工夫が感じられません。
しかし、そんなことに関係なくジワジワと感動してしまうのが、この映画のマ
ジック。それはもちろんイーストウッドの存在によるもの。
ラストには父と娘の絆にホロッとさせられるとともに、「何でも新しいものが
良い」という時代の流れに対する違和感も覚えます。古いからこそ、表現でき
るものがある。この映画の老スカウトの生き方は、そのままイーストウッドの
生き方に重なるのかもしれません。
ラストに、一人でバスで帰ろうとするイーストウッドの背中が、とっても素敵
でした。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（89点）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★★☆
（田中ひろあき（ぽち））
2012年11月25日（日）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後12時20分の回
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