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汚れた心（CORACOES SUJOS）
（2011年 ブラジル）（上映時間1時間47分）
監督：ヴィセンテ・アモリン
出演：伊原剛志、常盤貴子、菅田俊、余貴美子、大島葉子、エドゥアルド・モ
スコヴィス、奥田瑛二
＊ユーロスペースほかにて公開。全国順次公開
ホームページ http://www.kegaretakokoro.com/pc/
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＜ストーリー＞
第二次世界大戦後のブラジル。日系移民社会では、多くの人々が日本が戦争に
勝ったと信じていた。彼ら"勝ち組"はやがて、リーダー格の元日本帝国陸軍大
佐ワタナベ（奥田瑛二）を中心に、日本の全面降伏を認める少数派の"負け組"
を国賊と断罪し粛清を始める。ワタナベに心酔する写真館店主タカハシ（伊原
剛志）は、自らも粛清に手を染めていく。それを知った彼の妻ミユキ（常盤貴
子）は……。
＜レビュー＞
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ブラジル人監督が日系社会を舞台に、戦争の狂気と悲劇をあぶりだす
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ブラジル人監督によるブラジル映画ですが、日本人俳優が中心で全編ほぼ日本
語という異色の映画です。
第二次大戦直後のブラジルの日系移民社会。日本の敗戦を信じない人々が過激
化し、敗戦を受け入れる人々を粛清していく。心酔する元大佐の指示で、写真
館店主のタカハシは、自ら日本刀を手に粛清に手を染めるのだが……。
ブラジル人監督が日系移民を描いたといっても、よくリサーチしているので違
和感はありません。演出もなかなか手慣れたもの。映像も隅々までこだわりが
感じられ、しかも力強く訴えかけてきます。
ただし、ドラマ的にはやや物足りなさもあります。ステレオタイプな人物が目
立ったりして、キャラの組み立て方がイマイチ。
そもそも、こういう物語の展開自体、今の人から見たら信じられないのではな
いでしょうか？
だとすれば、それを納得させるだけの工夫が欲しかったですね。当時のブラジ
ルや日系人社会の状況をもう少し丁寧に説明するとか。
それでも、知られざる悲劇を通して、戦争の狂気を浮かび上がらせるという意
図は明確だし、なかなかの秀作だと思います。特にセリフに頼らずに、表情や
行動で人物の心理を見せていくあたりが見事。
最初は自分達の行動を正しいと信じていたタカハシが、次第に疑問を感じ苦し
み始めるところ。タカハシの行動を知った妻ミユキが憔悴するようす。それら
がリアルに描かれています。
最後には自分で落とし前をつける主人公。その晩年のエピローグが、実に哀し
く切なく感じられます。
伊原剛志、常盤貴子らの迫真の演技も見もの。特に、常盤が錯乱するシーンが
印象的。
情報の発達した今、まさかこんなことは起こらない……とは思うものの、もし
かしたらとも思わせられたりして。戦争はもちろんですが、それだけでなく異
論を封じるような最近の日本や世界の世相についても、いろいろと考えさせら
れました。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年8月21日（火）ユーロスペースにて。午後1時30分の回
[「け」のページ] |
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