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キツツキと雨
（2011年 日本）（上映時間2時間9分）
監督：沖田修一
出演：役所広司、小栗旬、高良健吾、臼田あさ美、古舘寛治、黒田大輔、森下
能幸、高橋努、嶋田久作、平田満、伊武雅刀、山崎努
＊角川シネマ新宿ほかにて公開
ホームページ http://kitsutsuki-rain.jp/
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＜ストーリー＞
木こりの岸克彦（役所広司）は、ゾンビ映画の撮影隊に遭遇。ひょんなことか
ら、彼らを手伝うハメになる。最初は迷惑がっていたものの、自分が写った場
面を見ると張り切り出し、積極的に協力する克彦。そんな中、自信を失ってい
た新人監督の田辺幸一（小栗旬）は、彼と出会って少しずつ映画への熱意を取
り戻していく……。
＜レビュー＞
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山村での映画撮影の内幕を描いた心温まるコメディ
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映画撮影の内幕をネタにした映画。事情を知っている人も、まったく知識のな
い人も、楽しく笑えて心が温まる作品です。
主人公は木こりの岸克彦。３年前に妻を亡くし、いまは息子の浩一と２人暮ら
し。浩一は定職に就かずふらふらしている。そんなある日、克彦はたまたまゾ
ンビ映画の撮影隊に出くわし、その手伝いをすることになる……。
最初は迷惑そうだった克彦が、エキストラ出演をきっかけに、大乗り気で協力
するようになるところが笑えます。村人のエキストラを集めたり、交通整理を
買って出たり。
そんな克彦との交流で変化していくのが、気弱な新人監督の田辺です。クセモ
ノのスタッフをまとめられず、東京への脱走まで企てる情けない若者。それが
克彦の奮闘を目の当たりにして成長していく物語が、ドラマの大きな柱になり
ます。
それとは対照的に、克彦と息子・浩一との確執と和解のドラマも描かれます
（そこはややツッコミ不足の感はありますが）。
そうしたドラマも、映画撮影という舞台があればこそ。時間に追われながら、
数々のアクシデントを乗り越えてクランクアップを目指す映画撮影が、ドラマ
に独特のエネルギーを注ぎ込んでいます。しかも、それがゾンビ映画だという
のが傑作。ゾンビの格好のまま村で働くエキストラの人々の姿など、笑える
シーンがテンコ盛り。
監督は『南極料理人』が評判を呼んだ若手の沖田修一。オーソドックスな作風
で、若手にしては安定した演出。冒頭の木の伐採シーンなど、ていねいな描写
も目立ちます。そして、沖田監督の最大の特徴が独特の間。セリフやシーンの
つなぎ目などの間が、いい味をかもし出し、オフビートな笑いを生み出してい
ます。
木の切り株で作ったディレクターズチェア、同じく切り株で作った将棋盤、あ
んみつや味のりなど、小物の使い方も効果的です。
クライマックスはクランクアップ前の突然の雨のシーン。そこで起きる奇跡の
ような出来事が、観客の心を温めてくれます。
主演の役所広司、小栗旬という２人は、奇しくもどちらも映画監督経験者。だ
からというわけではないでしょうが、絶妙の演技のハーモニーを奏でています。
さらに、嶋田久作、平田満、臼田あさ美ら撮影現場の人々も、いずれも存在感
バツグン。痔持ちのベテラン俳優役の山崎努の快演にも注目です。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年2月13日（月）ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後2時20分の回
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