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きっと ここが帰る場所（THIS MUST BE THE PLACE）
（2011年 イタリア・フランス・アイルランド）（上映時間1時間59分）
監督：パオロ・ソレンティーノ
出演：ショーン・ペン、フランシス・マクドーマンド、ジャド・ハーシュ、イ
ブ・ヒューソン、ケリー・コンドン、ハリー・ディーン・スタントン、ジョイ
ス・バン・パタン、オルフェン・フエレ、シェー・ウィガム、リロン・レボ、
ハインツ・リーフェン、サイモン・デラニー、デビッド・バーン
＊ヒューマントラストシネマ有楽町、シネマライズほかにて全国公開
ホームページ http://www.kittokoko.com/
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＜ストーリー＞
人気ロックスターだったシャイアン（ショーン・ペン）は今は表舞台を去り、
アイルランド・ダブリンの豪邸で妻ジェーン（フランシス・マクドーマンド）
と静かな生活を送っていた。そんなある日、故国アメリカから30年以上も会っ
ていない父の危篤の報せが届く。飛行機嫌いのシャイアンは船でニューヨーク
へ向かうが、臨終には間に合わない。その後、ユダヤ人だった父が元ナチス親
衛隊の男を探していたことを知ると、父の代わりにその男を探す旅に出るのだ
が……。
＜レビュー＞
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ショーン・ペンの怪演と映像美で魅せるロードムービー
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『イル・ディーヴォ』で2008年のカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞したパオ
ロ・ソレンティーノ監督が、その時に審査委員長を務めたショーン・ペンと組
んで撮った映画。ちなみに、ソレンティーノ監督の作品が日本で公開されるの
は、これが初めてです。
主人公はかつてのロックスターのシャイアン。今は音楽活動をやめて、株取引
などをしながら、奥さんと静かに生活中。そんな中、故国アメリカから30年以
上も連絡を取っていなかった父親が、危篤だという報せが入る。しかし、臨終
には間に合わず、ユダヤ人の父が元ナチス親衛隊の男を探していたことを知っ
たシャイアンは、父の代わりにその男を探し始める……。
前半は、シャイアンの現在の生活が描かれます。今はもう過去に生きるシャイ
アン。メイクやファッションにかつてのスターの片鱗が見えるものの、ほとん
ど隠遁生活のような日々。まるで幽霊のような虚ろな姿のシャイアンを、シ
ョーン・ペンが熱演しています。時々「やりすぎ」と思えるほどの怪演ぶりは
見応えタップリ。彼を支える妻役のフランシス・マクドーマンドもいい味を出
しています。
後半は一転してロードムービーになります。父が探していた元ナチスの男を追
って、シャイアンが各地を旅します。そこで自分が追う男の関係者を中心に、
様々な人と出会ううちに、シャイアンは自分を見つめ直していきます。
目を引くのは圧倒的な映像美。シャイアンが旅する土地土地の雄大な大自然が、
詩情タップリにカメラにとらえられています。また、旅先で登場する人々が、
いずれも個性的なのも魅力。おかげで、スクリーンから目が離せませんでした。
あちらこちらにさりげないユーモアが散りばめられているのも特徴。本人役で
登場している元「トーキング・ヘッズ」のデビッド・バーンによる音楽もユ
ニーク。ソレンティーノ監督の映画は初めて観ましたが、実に才気にあふれた
アーティスティックな監督だと思いました。
ただし、ナチスの残党を追うドラマの結末がああいう形なのは、どうなんでし
ょう？なんだか中途半端な感じがしてしまいました。
とはいえ、その後の主人公の帰還は見事なシーン。シャイアンの変身ぶりを通
して、彼がようやく子供から大人に成長を遂げたことが的確に表現されていま
す。人間はいくつになっても成長できることが、よく伝わってきました。
かなり風変わりな映画ではあるものの、ショーン・ペンの怪演＆圧倒的な映像
美だけでも、観る価値のある映画だと思います。
≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
（田中ひろあき（ぽち））
〔鑑賞データ〕
2012年7月7日（土）ヒューマントラストシネマ有楽町にて。午後2時10分の回
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