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メランコリア（MELANCHOLIA）
（2011年 デンマーク・スウェーデン・フランス・ドイツ・イタリア）
（上映時間2時間15分）
監督・脚本：ラース・フォン・トリアー
出演：キルステン・ダンスト、シャルロット・ゲンズブール、アレキサン
ダー・スカルスガルド、ブラディ・コーベット、キャメロン・スパー、シャー
ロット・ランプリング、イェスパー・クリステンセン、ジョン・ハート、ステ
ラン・スカルスガルド、ウド・キア、キーファー・サザーランド
＊TOHOシネマズ渋谷ほかにて公開
ホームページ http://melancholia.jp/
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＜ストーリー＞
ジャスティン（キルスティン・ダンスト）とマイケルの盛大な結婚パーティー
が、ジャスティンの姉クレア（シャルロット・ゲンズブール）夫妻の邸宅で開
かれる。だが、２人は予定時刻を大幅に遅れて到着。さらに、情緒不安定なジ
ャスティンは常軌を逸した行動をとって、周囲を困惑させる。そんな中、巨大
な惑星「メランコリア」が地球に向けて近づいていることが判明する……。
＜レビュー＞
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ラース・フォン・トリアーが描く圧倒的に美しい世界の終焉
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『ダンサー・イン・ザ・ダーク』『アンチクライスト』の鬼才ラース・フォ
ン・トリアー監督が描く地球最後の日。ド派手なパニックシーンもなく、一組
の姉妹とその家族の心の揺れ動きを中心に描いているのに、そのスケールの大
きさと緊迫感に圧倒されます。
何より見事なのがオープニング。主役のキルステン・ダンストのアップから始
まる数分間の映像が、息を飲むほどの美しさです。どのシーンも細部まで計算
しつくされた完成度の高い映像で、そのまま絵画として展示できそうです。
続いて始まる第１部は、妹ジャスティンを中心とした物語。マイケルという男
性と結婚する彼女は、姉クレア夫婦が仕切る盛大な結婚パーティーに出席。し
かし、喜びの一方で深い憂鬱感にさいなまれ、おかしな行動を取っていきます。
それに続く第２部は、姉クレアを中心とした物語。地球に「メランコリア」と
いう惑星が接近していることが判明。クレアの夫は「衝突せず通過する」とい
う専門家の分析を信じるものの、クレアはどんどん恐怖を募らせていきます。
その一方、妹ジャスティスは惑星接近とともに、生気を取り戻していきます。
オープニングの映像美は、その後も健在。あまりにも美しい映像の連続で、ま
さにアート作品のよう。それだけでも観る価値は十分にあります。
リアルな心理描写も必見！姉妹それぞれの重苦しい心の中がダイレクトに伝わ
ってきて、押しつぶされそうなほどでした。トリアー監督自身がうつ病を患っ
た経験を持つせいか、非日常的な心理描写が特に秀逸。
第１部のパーティーに登場する嫌な上司、幼い頃に去った母親、ひたすら優し
い新郎など周囲の人物造型も巧み。全体の舞台となる広い庭園を持つ邸宅も独
特のムードを生み出しています。
惑星接近とともに憔悴していくクレア、逆に「すべてを終わらせることができ
る」と生気を取り戻していくジャスティン。対照的な姉妹に訪れるクライマッ
クス。ワーグナーが鳴り響く中、恐ろしくも美しいシーンが現出。
妹役のキルステン・ダンスト、姉役のシャルロット・ゲンズブールの鬼気迫る
演技に加え、姉の夫役のキーファー・サザーランドなど脇役の存在感も光りま
す。
世界の終わりを描いた数ある映画の中でも異色の作品。世界の終焉をここまで
美しく、ある種の幸福感とともに描いた映画は観たことがありません。
≪ぽちの満足度≫
★★★★☆
≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆（＋1／2★）
＜田中ひろあき（ぽち）＞
〔鑑賞データ〕
2012年2月18日（土）新宿武蔵野館にて。午後1時35分の回
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