ミッドナイト・イン・パリ(MIDNIGHT IN PARIS)


(2011年 スペイン・アメリカ)(上映時間1時間34分)
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニ、マリ
オン・コティヤール、レイチェル・マクアダムス、マイケル・シーン、オーウ
ェン・ウィルソン
*丸の内ピカデリーほかにて全国公開
ホームページ http://midnightinparis.jp/
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<ストーリー>
ハリウッドの売れっ子脚本家ギル(オーウェン・ウィルソン)は、婚約者イネ
ズと彼女の両親とともにパリに観光に来ていた。小説家への転身を目指す彼は、
パリの魅力にとりつかれ引越しを決意する。だが、イネズはそれに興味を示さ
ず、2人の距離は離れ始める。そんなある夜、1台の古い車に誘われるままに
乗り込んだギルは、1920年代のパリに迷い込む。そこには、フィッツジェラル
ドやジャン・コクトー、ヘミングウェイ、ダリといった憧れの偉人たちがいた
……。

<レビュー>
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ウディ・アレンによる楽しいラブコメにはパリへの愛がタップリ
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ウディ・アレン監督が、第84回アカデミー賞で3度目の脚本賞を受賞したラブコ
メディです。全体の雰囲気はいつものアレン節。ノスタルジックなジャズが全
編に流れ、ユーモアとペーソスにあふれた世界が展開します。

オープニングからしばらくの間映されるのは、パリの街の様々な表情。そうで
す。この映画の主役はパリの街。他の場所では成立しない物語です。

アメリカから婚約者とその両親とともにパリに来た脚本家(小説執筆中)が、
パリの魅力にとりつかれ、1920年代のパリにタイムスリップしてしまうという
お話。

タイムスリップもののドラマはたくさんありますが、そこに登場するのがフィ
ッツジェラルドやジャン・コクトー、ヘミングウェイ、ピカソ、ダリなど超有
名人だというのが面白いところ。彼らの「いかにも」という振る舞いが笑いを
誘います。ダリの奇人ぶりなどは特に爆笑もの。有名ジャズ・ミュージシャン
のコール・ポーターも登場。彼の音楽が重要な役割を果たします。

このタイムスリップ劇を通して描かれるのは、主人公ギルの再スタート。現在
の仕事を嫌い、婚約者に距離を感じる彼は、現実に違和感を持っています。そ
の反動でタイムスリップした憧れの1920年代にのめりこみます。過去の世界で
生き生きと輝くのと対照的に、現実の世界にますますなじめなくなるギル。婚
約者との距離もどんどん広がります。

後半、ギルはピカソをはじめ文化人たちのミューズ的な存在の女性アドリアナ
と仲良くなります。そこからは意外な展開に突入。なんとアドリアナが憧れる1
890年代に2人でトリップ。そして、そこで起きるのは……。

そこに至ってギルはようやく気づきます。いつの時代も現実は大変だが、それ
に向き合わないといけない。昔に憧れるだけでは何にもならないと。

そういう気づきを押し付けがましくなく、さりげなく描いているのがアレン監
督の真骨頂。ラストでは、ギルにとってステキなオチを用意して、ラブコメら
しい幸せ感を漂わせてドラマを終わらせます。普通にやれば甘ったるくなりそ
うな結末ですが、そう感じさせないところにアレン監督の年輪を感じますね。

キャストは多彩。キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、マリオン・コ
ティヤール、レイチェル・マクアダムスなどの実力派に加え、フランス元大統
領のサルコジ夫人カーラ・ブルーニも出演。

なかでも驚いたのが、主人公ギルを演じたオーウェン・ウィルソン。しゃべり
方やしぐさがウディ・アレンそっくりなのに笑ってしまいました。

≪ぽちの満足度≫
★★★☆☆(+1/2★)

≪ぽちのオススメ度≫
★★★☆☆(+1/2★)
                           (田中ひろあき(ぽち))

2012年5月26日(土)ユナイテッド・シネマとしまえんにて。午後1時30分の回


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